rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月11日 評論「信念の強者だけが党の構想を徹底した行動実践により奉じることができる」

 

 標記評論は、本日の「労働新聞」冒頭に掲載されたものだが、読んでいて既視感を感じた。本ブログでも紹介した昨日の社説と主題的にはほとんど同一である。ただ、そこには特段の論理的展開もなく、ひたすら言葉を連ねているだけのようなので、印象的な部分を抜粋して紹介したい。

・「いかなる災難が押し寄せても千万の試練が重なっても社会主義に対する信念、革命勝利に対する信念を固く帯びてひたすら主体革命の一路へ! まさにこれが偉大なわが党だけを固く信じ従う我が人民の鉄の信念であり、良心であり、道徳であり、義理である」

・「首領に対する無限の忠実性、まさにここに真の革命家となり、死んでも永生する生の主人となる根本の根本がある」

・「党においてせよと言うとおりにだけすれば、必ず勝利する。革命家は、ひたすらこの真理だけを知らなければならない」

・「いかなる試練が押し寄せても情勢がいかに変化してもひたすら首領だけを知り、首領の意図を決死貫徹する一つの意志、一つの覚悟で心臓を燃やす革命家」

・「我々の信念はただ一つ、敬愛する総秘書同志を奉じて永遠に忠臣として生き、働こうとの一念だけである」

・「革命家は、事業や人間生活で融通性があることはあるが、革命的信念に関する問題においては絶対に駆け引きがあってはならない。信念において純潔な人は私心がなく、功名を知らず、政治生活において綱渡りや日和見をしたり権力の前に迎合屈従したりせず、大勢や趨勢にそって身を処すことを毛ほども許容しない」

・「革命は決心や誓いだけでは行うことができず、職位や経歴をもっては更に行えないものである

・「自分の首領を絶対的に信頼し従い、首領の構想と決心を徹底した行動実践で奉じていく一念」

 以上のとおり同評論でも、昨日の本ブログで述べたことの繰り返しだが、困難にあっても揺るがない「信念」に基づく「忠誠」、言葉だけでなく実践によって体現される「忠誠」が殊更強調されている。

 更に注目されるのは、下線部の表現で、面従腹背しつつひたすら保身に努めるベテラン幹部に対する批判と思われる。あるいは、本日にも開催されている可能性のある中央委員会全員会議でも、何らかの人事的措置が講じられることを反映したものと考えるのは深読みしすぎであろうか。

 ところで、こうした「動揺」の背景になっている「困難」の実情であるが、昨日のブログで「地方工業」活性化の実情が涙ぐましいものと書いたが、本日報じられた金徳訓総理の現地了解(主たる対象は平壌市内1万世帯住宅建設場)の中でも、「平壌基礎食品工場」に関し「原料を円満に保障するための対策を講じた」とされている。「基礎食品」というのは、味噌・醬油・コチュジャンのたぐいで、昨日の記事のような地方ならともかく、平壌においてさえ、その原料保障(=確保)が問題になっているというのは、その深刻さを改めて感じさせるものといえよう。