rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

021年5月17日 社説「敬愛する金正恩同志に無限に忠実な真の革命戦士、信念と義理の人間になろう」

 

 連日同じ話題で恐縮だが、標記社説も、このところの金正恩「首領化」の延長線上に位置づけうるものである。

 社説は、まず、「首領に対する人民の絶対的な忠実性は、今日、敬愛する金正恩同志を首位に奉じ崇高な高さで発揮されている。敬愛する金正恩同志に対するわが党員と勤労者、人民軍将兵の無限の忠実性は、傑出した首領、絶世の愛国者、卓越した革命家、偉大な人間に対する限りない魅惑と熱火のような敬慕心の噴出である」(下線部引用者、以下同)として、総論的かつ直接的に金正恩と首領を結び付けて描写した上で、様々な課題を提起する中で、それを繰り返す。

 例えば、「敬愛する金正恩同志の革命思想の絶対的な信奉者、徹底した体現者、固い擁護貫徹者にならなければならない」との課題に関しては、「首領に忠誠を尽くすということは、(その)思想と志に従うことである」と説明する。

 また、「敬愛する金正恩同志の構想と決心を高い事業実績で奉じていかなければならない」との課題に関しては、「自分の哨所、自分の職場を首領死守戦、党政策擁衛戦の第1塹壕とみなし、自己の革命課題遂行に無限の責任性と献身性を発揮」することを求めている。

 更に、「敬愛する総秘書同志を革命的信念と義理で奉じていかなければならない」との課題に関しては、「義務的な忠誠、責任感による忠誠は、(本当の)忠誠ではない。首領に対する忠実性は、信念化してこそ変心のない永遠のものとなることができる」と説いている。

 そして、こうした課題を実現するための方法論に関しても、「幹部が首領を信念と義理で奉じることで群衆の見本、鏡にならなければならない」として、金正恩を直接的に首領の言葉で表現しているほか、大衆に対する思想教育についても、「敬愛する総秘書同志の偉大性と業績に対する教養事業を・・・勤労者が首領の思想と領導、業績の偉大さと大きな恩徳を心臓で感じ、忠実性をより昇華させていく過程」とするよう求めている。

 最後の部分でも、金正恩への称賛を繰り返した後に「偉大な首領の老熟し洗練された領導があり、首領に無限に忠実な人民があるがゆえに我が祖国と革命の前途は限りなく明るく燦々としている」と主張している。

 同社説の以上のような金正恩「首領化」言説は、本ブログで紹介してきたこれまでの関連論調よりも一層直接的なものである。事実上の「決め打ち」と言っても過言ではないように感じる。

 なぜこの時期にそのような動きが急速に顕在化しているのか、その背景にも関心がもたれる。