rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年5月13日 金正恩「首領化」言説継続

 

 標記に関しては5月11日付け本ブログで紹介したばかりだが、本日の「労働新聞」掲載の論説「首領に対する忠実性は革命家の基本徴表」もまたその一例と言える。

 同論説は、まず、「首領に忠実な人々には不可能はありえない。千里馬時代大高潮時期、我々の労働階級と科学者、技術者たちが(困難な中で奇跡的成果をあげられたのは)全面的に首領に対する限りない忠実性に根本源泉を置いている」などとして、「首領に対する忠実性」の必要性、重要性を強調する。

 とりわけ、「(今日)首領に対する忠誠の熱度が誰よりも高くなければならない人はほかでもない我が幹部たちである」とした上で、「首領に対する忠実性が習癖化、体質化した幹部には受動的で被動的な事業態度と席に温めるだけの無責任な現象はありえない」などと述べて、幹部が首領に対する忠実性に基づき執務態度を改善することを要求する。

 そして、最後に「すべての幹部と党員と勤労者は、敬愛する総秘書同志に対する絶対的な忠実性を帯びて革命の新たな勝利に向けて前進また前進していかなければならない」として、金正恩に対する忠実性に基づく革命への献身を訴えている。

以上のような主張は、金正恩を首領と位置付けない限り理解できない論理構造になっているといえよう。

 一方、本日の「労働新聞」は、10日付け本ブログで紹介した「真似て先に立つ、真似て学ぶ、経験交流運動」の拡大も報じている。「新たな勝利に向けた自力更生大進軍を力強く推動する集団的競争熱風 全社会的に真似て先に立つ、真似て学ぶ、経験交流運動さらに高潮」と題する記事がそれで、同記事は、まず、同運動が金正恩の提唱であることを次のように強調する。

 「革命と建設において集団主義的競争運動が持つ重要な役割を透察された敬愛する金正恩同志は、全社会的に模範単位、見本を創造し、真似て先に立つ、真似て学ぶ、経験交流運動を力強く展開することについての思想を提示され、その実現のための闘争を賢明に導いて下さった。」

 続いて、そのような指導の結果、同運動が拡大していることについて、「党の崇高な志を奉じてすべての部門、すべての単位において模範的な単位を真似て先に立ち真似て学び、その経験を積極的に一般化するための事業が活発に展開され、革新的成果が多発的に連発的に成し遂げられている」と主張する。

 金正恩を首領化する言説と同人の提唱に基づく新たな大衆運動の展開が無縁でないことはいうまでもなく、そのような動きが日々加速しているようにみえる。