rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月19日 金正恩、記念撮影関連報道、「首領」就任?

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が①新たに選出された内閣メンバー(前項で紹介)、②党大会で選出された新党中央指導機関メンバー(党中央委員会委員のことと思われる)、③大会に貢献した出版・印刷部門勤労者達と、それぞれ18日に記念写真を撮影したことを報じている。撮影場所は、①は明らかにされておらず、②は大会記念会場(主席壇前)、③は党中央本部庁舎前となっている。

 金正恩は、それら撮影に際し、①の内閣メンバーに対しては、「新たな国家経済発展5カ年計画遂行のための闘争において基本は責任幹部の献身性と大胆性である」とした上で「内閣メンバーが党を信じすべての事業を科学的に打算し、大胆に推進し決着をつけるまで頑強に実践し、自らの部門に託された革命課題遂行において実際的な変化、実質的な成果を成し遂げなければならない」と訴えたとされる。

 また、②の党指導部メンバーに対しては、「以民為天、為民献身の崇高な理念を骨に深く刻み、人民大衆第一主義に無限に忠実で、我々式社会主義建設において新たな勝利を勝ち取るための聖なる闘争において、革命に指揮メンバーとしての責任と本分を立派に遂行するとの期待と確信を表明」したとされる。

 なお、同記念写真には、概ね250人くらいの人物が写っているが(党大会で選出された中央委員は、金正恩含め139人、候補委員111人)、このうち50人前後は、軍服を着用している。ここからは、中央委員会メンバーのうち、約2割が軍関係者ということがうかがえる。これは、今次党大会の代表の中で軍人代表が占めた比率が1割にもみたなかったのと比較すると、かなり高く、概ね前回大会における軍人代表の比率と同じということになる。一過的な地位でしかない党代表の比率は減らせても、長期に及ぶ地位である中央委員に占める比率は、そう簡単に減らすことはできないということか。

 ③については、先の護衛・安全部門関係者との記念写真撮影と類似のもののようにみえる。日陰で黙々と任務を果たす人々に対しても配慮を忘れないという金正恩の姿勢(「人民大衆第一主義」の一環ともいえるかもしれない)をアピールする狙いが感じられる。

 最後に、別件だが、本日の「労働新聞」の社説は、「朝鮮労働党総秘書同志の周囲に固く結集し革命の新たな勝利に向けて力強く進んでいこう」と題して、金正恩総秘書選出の意義とそれを受けての全党、全人民の奮闘を訴えたものであるが、その中に次のような一節があった。

「革命する党において、党の首班は、全党の組織的意思を体現し代表する革命の最高脳髄、領導の中心、団結の中心として首領の地位を占め、人民大衆の革命偉業、社会主義遂行において決定的役割をする。」

 今次大会において金正恩が就任した総秘書が「党の首班」と称されていることを勘案すると、上掲の文書は、金正恩が「首領の地位を占める」ことを宣言したものと言ってよいのではないだろうか、これまでは避けてきたが、総秘書就任を契機に、いよいよ金正恩が「首領」の地位にあることを公言する時代になったとも考えられる。そうであるとするなら、この社説は、画期的な意味を持つものともいえよう。