rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月31日 「朝鮮労働党第8回大会のための準備事業積極推進」

 

 年末直前になって、昨日の党政治局会議開催報道に続き、党大会開催に向けた動きが次々に報じられはじめた。

 本日の「労働新聞」掲載の標記記事によると、党の各級組織代表会が12月中に行われ、「該当党組織の総括期間(前回代表会以降の期間の意味)の事業を全面的に総括し、新指導機関を選挙した」という。その最後の段階である「各道党代表会」及び「朝鮮人民軍、内閣、社会安全省、鉄道省、文化省、首都建設委員会党委員会をはじめとする道党と同じ機能を遂行する党組織」の代表会において、「党大会に送る代表者を選挙し、傍聴者を推薦」する手続きを行ったという。

 更に、「(前述のようにして選出された各組織の)代表者たちが12月下旬、平壌に到着し、首都市民たちの熱い歓迎を受けた」とされる。

 そして、これら代表者を集めて12月30日、「朝鮮労働党第8回大会代表証授与式」が開催されたことについての記事も別途に掲載されている。同記事によると、党第8回大会準備委員会委員長である金在龍党副委員長が彼らに代表証を授与したという。報道写真には、崔竜海ら党政治局常務委員会メンバーをはじめとした多数の参加者が一人一人代表証を受け取る姿が映し出されている。ちなみに同授与式では、まず、金日成金正日両人に代表証が授与されたそうである。なお、金正恩に関する言及はないが、最高人民会議のように代表からはずれているわけではないであろう。

 ここで29日開催の党政治局会議に関する昨日の本ブログ記事を補足すると、そこで金在龍が「司会」をしたのは、同人が党大会準備委員会の委員長であるため、その実務的な内容についての説明などの役割を果たすためであったことが、上掲記事からうかがえる。

 なお、朝鮮中央放送のニュース映像では、同会議は、金正恩を中心に27人が大型の円卓を囲んで着席して行われ、発言が映し出されるのは金正恩が大半であり、また参加者に何かを問いかけ起立して答えさせるなど同人の「指導の下」で行われたことが印象付けられる。一方、金在龍は、金正恩に向かって左3人目(つまり常務委員よりも下座)に位置して、起立した形で資料を手にして何やら説明しているような姿が映し出されている。

 これらを勘案すると、同会議の運営方式(金正恩指導下での金在龍司会)は、あくまでも金正恩の絶対的指導権行使を前提に、特定の実務的業務について、別人に代理させたというにとどまるものであり、いわゆる「委任統治」とか指導権限ないし責任の分散とかといった概念を適用する余地はないと考えられる。

 ちなみに、金与正は、金正恩に向かって左10人目に着席しており(序列でいえば、21位)、再登場以来、序列面で特段の変化はうかがえない。

 いずれにせよ、党大会開催は、目前と考えられる。