rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月11日 党大会6日目(10日)会議進行状況

 

 本日の「労働新聞」によると、標記については、概ね、①中央委員会メンバーの選出、②総書記(金正恩)の選出、③新メンバーによる中央委員会第8期第1回全員会議の開催(常務委員会、政治局、中央検査委員会メンバー、中央軍事委員会メンバー、党部長ら選出。)、④党大会に対する中央委員会決定の報告、⑤大会決定書作成作業、の順で進んだ模様である。

 ここでの注目点として、まずは、金日成金正日が長年勤めた、そして「永久欠番」のようにしてきた「総書記」をあえて復活させ、それに金正恩が就任したことをあげたい。執権9年を経て、先代と同格になったということを改めて印象ける動きといえよう。一方、朴奉柱、崔富日ら老世代が引退したことも、指導部内の世代交代を象徴する動きである。

 次に、検査委員会の改編(事実上、検閲委員会と一体化して、中央委員会の内部機関化)については、その実務部署(規律調査部)が新設されたことなどとあわせて、今後の党内引き締め(とりわけ官僚主義、不正腐敗現象等払拭)に向けた強い意向がうかがわれる。中央のみならず、地方各級機関にも同様の機構が設けられる模様である。

 なお、⑤については、先の本ブログで「理解できない」としていたが、それは先日の報道を読み間違えていた(韓国の報道でも同じ誤りがあり、それにひきずられてしまった)ためである。実際は、この日、新指導部(中央委メンバー)により「党大会決定書草案作成委員会」が組織され、同委員会の指導の下で、大会代表らが「部門別協議会」を開いて、「提起された問題を総合的に審議し、決定書草案を作成し、党大会に提議する」ことになるという。おそらく11日は、この作業に充てられ、その後、同日中か後日かは分からないが、その「決定書草案」を大会において正式に決定するということになるのであろう。そうした手続きを踏むことによって、「大会決定」が形式的なものではなく、まさに全党の衆知を集めた、実務的・現実的なものであるということを強く印象付け、その確実な実践につなげたいという意向に基づくものと考えられる。それは、まさに会議冒頭、金正恩が「開幕辞」で訴えたところでもある。