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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月10日 党大会代表の出身部門別構成比に就いて(修正版)及び大会5日目の議事について

 

 標記については、7日付け本ブログで紹介したところだが、その時正確に参照できなかった前回大会の状況が(ある方のご厚意により)把握できたので、改めて検討結果を紹介したい。

 今次大会については、前回ブログで紹介のとおり、金正恩の「開幕辞」の中で明らかにされた「政治イルクン代表1959人、国家行政経済イルクン代表801人、軍人代表408人、勤労団体イルクン代表44人、科学・教育・保健・文学芸術・出版報道イルクン代表333人、現場で働く核心党員代表1455人」に基づき、各出身部門(「勤労団体イルクン」は、事実上、党組織と一体となって大同小異の活動をしているとみられるので、党幹部を指すと見られる「政治イルクン」と合計して「党関係機関」と、「科学・教育・保健・文学芸術・出版報道イルクン」は「知識人」と表記)の全体(5,000人)に占める比率を計算すると、党関係機関代表:40%、国家行政経済機関代表:16.2%、軍人代表;8.2%、知識人代表:6.7%、現場核心党員代表:29.1%、となる。

 これに対し、前回大会の際の党代表(合計3667人)の出身部門別構成(金正恩の「開幕辞」において言及)を上記分類に即して見ると、党関係機関代表:1597人・43.6%(うち勤労団体イルクン52人)、国家行政経済機関代表:423人・11.5%、軍人代表:719人・19.6%、知識人代表:112人・3%、現場核心党員代表:786人・21.4%(このほか、今次大会には含まれなかった抗日関係烈士、非転向長期囚:30人・0.8%)となる。

 両者を比較すると、最大の変化は、軍人代表の構成比が半分以下に減少したことであり、党関係機関代表も若干減少している。一方、知識人代表の構成比が倍以上に増加、国家行政機関代表、現場核心党員代表も構成比で5割程度増加している。

 このような代表構成比の変化は、「先軍」時代が完全に終焉する一方で、「知識経済の時代」との認識を背景にした科学技術重視の傾向や「親現実性」を重視する中で実務担当者、現場関係者の意欲引き出しを目指す傾向などを反映したものとみることができよう。

 なお、本日報道されたところによると、大会5日目にあたる9日の会議では、やはり昨日に続き第1議題(中央委員会事業総括報告)に対する「討論」12人)が行われたのに続き、第2議題である中央検査委委員会活動報告及び第3議題である党規約改正などが討議・決定されたとされる。党規約改正については、新たな規約の原文は示されず、解説だけであるので、正確な意味が判然としない点が少なくないので、今日のところは論評は留保したい。

 9日の議事で理解できないのは、第1議題についての「決定」を「次の大会で審議し、採択することにした」とされていることである。この意味についても、いずれ改めて検討してみたい。

 いずれにせよ、残された議題は指導部選出だけなので、これが今日10日に行われ、大会は、6日間で閉幕ということになるのであろう。