rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月6日 党第8回大会開幕(「開幕辞」注目点)

 

 標記大会が5日から開幕していたことが今日になって報じられた。

 初日の主な内容は、金正恩の「開幕辞」演説、大会執行部、主席壇、書記部の選出、議題の選定(①中央委員会事業総括、②中央検査委委員会事業報告、③党規約改正、④中央指導機関選挙)そして、金正恩の第1議題に関する中央委員会総括報告(途中まで)とされる。

 このうち、開幕辞は全文が公表されているが、総括報告は、概要が報じられているだけである。その全文は、おそらく本日の会議で後半部分の報告を行った後に(すなわち明日の報道で)示されるのであろう。

 そこで、本稿では、とりあえず、開幕辞の内容を中心に紹介したい。結論から述べると、その最大の注目点、特徴は、今次大会を反省の場として活用しようという姿勢を明示したことである。

 金正恩は、前回大会以来の5年間を回顧して、まずは、「最悪中の最悪が継続した難局」にもかかわらず、「巨大な成果を勝ち取った」とし、「より拡大強化された我々の主体的力と非常に高められた国の対外的地位」などを挙げて、「半万年民族史に大書特筆すべき奇跡的勝利と事変」とまで形容し、経済建設についても、「人民生活を向上させることことができる一連の意味があり大切な成果と土台を準備」したとの評価を示した。

 しかし、それに続けて、「国家経済発展5カ年戦略」については、「打ち立てた目標は、ほとんどすべての部門で甚だしく未達成」であったことを改めて指摘し、「我々の努力と前進を妨害し障害する様々な挑戦は、外部にも、内部にも依然として存在」しているとした上で、それへの対応として、「欠陥の原因を客観(外部)ではなく、主観(内部)に求め、主体の役割を高め、すべての問題を解決していくとの原則」の下、今次大会において、「総括期間に得た経験と教訓、犯した誤謬を全面的に深く分析総括し、それに基づいて我々が行うことができ、必ず行うべき科学的な闘争目標と闘争課題を確定しよう」と呼びかけたのである。

 そして、そのような反省の糧となる失敗の教訓について、「金では買えないものであり、今後の新たな勝利のための貴重な元手」とまで述べ、「経験を大胆に認定し、二度とそのような弊害が反復されないよう断固たる対策を立てねばなりません」と訴えている。

 次に注目されるのは、党大会開催を決定した昨年8月から「過去4か月の間」の大会準備の過程において、党中央に非常設中央検閲委員会を組織し、7回大会の「決定執行状況(5か年戦略取組み状況などであろう)を全面的に、立体的に、細部的に分析総括し、今後の前進発展のための経験と教訓を求める事業」を行ってきたことを明らかにしたことである。

 それによると、同委員会は、「了解検閲小組」を組織し、まず、地方各地に派遣して実態を把握した後、内閣の省・中央機関に対し、「電撃的に、全面的に、具体的」に了解事業を行ったという。また、その過程では、「現場で働く労働者、農民、知識人党員たちの意見を真摯に聴取」し「大衆こそが立派な先生であるという貴重な真理を改めて確認」したともいう。

 このほか準備期間中には、「中央党部署と全国の党組織が過去5年間の事業状況を総括した資料とともに今後の闘争目標と計画に対する革新的で具体的な意見」を提起したという。

 更に、準備期間中には、「党財政事業」や「党規約において過去の古いもの、他人のものを機械的に踏襲し現実に合わなかった問題」などが研究され、さらには「党中央指導機関メンバーの事業状況を全面的に了解」したことも明らかにされた。

 そして、こうした準備作業について、「党大会を名実ともにすべての党員の総意を反映した革命的大会、戦闘的大会となるようにし、今後採択される党大会決定を全党の組織的意志となるようにする上で重要な意義を持つ」としている。

 以上のような問題点を率直に認め、その改善を促すという姿勢は、金正恩時代の特徴として以前から示されてきたものであるが、今次大会では、それが従前以上に顕著な形で追求されることになると考えられる。

 このほか、開幕辞では、大会代表者について、党中央指導機関メンバー250人と全党の各級組織で選出された代表者4,750人(計5,000人)で構成されること、傍聴者は2,000人であることが明らかにされた。また、代表者の職業別内訳(政治イルクン代表1959人、国家行政経済イルクン代表801人、軍人代表408人、勤労団体イルクン代表44人、科学・教育・保健・文学芸術・出版報道イルクン代表333人、現場で働く核心党員代表1455人)、性別内訳(女性は501人、10%)が示された。