rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月28日 党中央委第8期第5回全員会議が開幕

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が12月27日に開幕したことを伝える記事を掲載した。

 同記事によると、会議には、中央委員会メンバーが参加したほか、「党中央委部署幹部、省・中央機関、道級指導機関、市・郡、重要工場・企業所の責任幹部、該当重要部門の幹部が傍聴している」とされ、添付の写真からは会議場には数百人の着席がみとめられる。なお、主席檀には、前列に「政治局の委任により会議を司会」とされた金正恩を中心に5人の政治局常務委員が、後列の10人の政治局委員が着席している。

 ちなみに、注目の金予正は、韓国報道では、一般席最前列の端に玄松月宣伝扇動部副部長と並んで着席している姿が写し出されており、少なくとも会議開催の時点では、政治局候補よりも格下、おそらく平の中央委員のかなり上位という従前同様の序列に位置づけられている。やはり、先日の金正日逝去10周年追慕大会での序列は、故人の娘としての一時的なものであったのであろう。

 本題に戻って、会議のテーマであるが、「2021年度主要党及び国家政策執行状況を総括し、社会主義建設の新たな発展期を切り開くための我が党と人民の闘争を勝利の次の段階へと強力に導く戦略戦術的方針と実践行動課題を討議決定」するとだけ報じられ、具体的な議題には言及しないまま、「会議は、上程された議題を承認し、討議作業に入った」とのみ報じている。やや異例な報道ぶりといえよう。

 更に注目されるのは、同全員会議の招集を決めた政治局会議(12月1日)の決定書においては、全員会議の目的として、「2021年度主要党及び国家政策の執行状況を総括し、新年度事業計画を討議決定するため」としていた(12月2日付け本ブログ参照)こととの相違である。これを前述の記述と比較すると、前段の今年の総括は同じだが、後段は、単純に来年の事業計画とされていた部分が、社会主義建設の「次の段階」に関する「戦略戦術方針」という、より長期的なテーマにいわば拡大されている。

 これは、おそらく、本ブログで最近しばしばとりあげている「全面的発展」方針あるいは「3大革命」、「3大革命赤旗獲得運動」とかを意味するものであろう。そういった基本的な問題が中央委員会全員会議のテーマとなるのは当然のことであるが、では、なぜ、1日の政治局の決定では、それが反映されず、来年度の事業計画といういわば矮小化するような表現になっていたのだろうか。

 本ブログで既に指摘したとおり、「全面的発展」方針は、11月18日開幕の「3大革命先駆者大会」あて金正恩「書簡」で示されたにもかかわらず、「労働新聞」で本格的に敷衍・解説されるようになったのは12月に入って後のことであった。政治局会議の決定に同方針が反映されなかったのも、それと符合しているように思われる。

 いずれにせよ、全員会議の成り行きを注目したい。