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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月7日 党大会における中央委員会事業総括報告の骨子

 

 金正恩が会議初日から行っている標記報告については、昨日の本ブログの予測に反して、2日目では終わらず、3日の今日も続けられるとのことである(前回大会時は2日目で終了)。そこで、とりあえず、それに関する昨日及び本日の報道を総合して、これまでに何が報告され、今後はどのようなことが報告されるのかを整理してみたい。

 まず、全体構成は、大別すると、経済建設、祖国統一と対外関係、党事業強化の3つの部分からなると思われる。このうち、経済建設については、「成果と欠陥の二つの側面」すなわち「総括期間に我が党と人民が成し遂げた輝かしい成果」及び「国家経済発展5カ年戦略遂行において発露された欠陥とその主客観的要因」を指摘した上で、「新たな5カ年計画にしたがって国の全般的経済を一段階押し上げる」ための「闘争路線と戦略戦術的方針」を示すものとみられる。

 初日(5日)の報告では、以上のような総論に続き、経済建設に関する部分のうち、「金属、化学、電力、石炭、機械、採掘工業(鉱業)をはじめとする人民経済基幹部門」について、「現実態を分析」するとともに「今後の発展のための課題が提示」されたとみられる。

 また、2日目(6日)の報告では、経済建設に関し、昨日に続けて、①交通運輸、基本建設・建材工業、逓信、商業、国土環境、都市経営、対外経済をはじめとした主要部門と経済管理分野、②農業、軽工業水産業、地方産業など「人民生活」関連分野、③軍需産業・国防建設、④科学技術部門、の各部門について、それぞれ現状の分析及び今後の方針などが示されたとみられる。

 経済部門に関する報告は、おそらく以上であろう。これを見ると、「人民生活重視」とは言っても、それに直接関連する部門が後回しにされており、伝統的な重工業重視の傾向がこれまで以上に色濃くなっているとの印象がある。また、いわゆる「経済改革」的な施策が含まれ得る「経済管理分野」が主要部門の「つけたし」的に位置づけられており、少なくともそれを目玉にしようとの意欲はうかがえない。

 なお、2日目の③に関しては、「国家防衛力をより高い水準へと強化し、国と人民の安全と社会主義建設の平和的環境を頼もしく守護しようとの重大意志」を改めて表明し、「その実現のために提起される目標」を示したとされる。このような表現からは、従前の姿勢を大きく変更する意向はうかがえない。いずれにせよ、これらの文言は、対外政策そのものの表明ではないことに留意する必要がある。

 今日(7日)の報告は、国際的な注目が集まっている「祖国統一と対外関係」からはじまり、党の組織強化策などへと続くのであろう。前者に関しては、印象論であるが、概ねこれまでの延長線上での抽象的な理念提示にとどまり、それほどびっくりするようなものは出てこないのではないかと予測している。後者に関しては、「滅私服務」が改めて強調され、党内の官僚主義批判、さらには社会全般の「非社会主義思想」根絶などについての訴えが予想される。