rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月12日 中央委員会詳報

 

 標記会議の開催状況に関しては、昨日の本ブログで概略紹介したが、金正恩の「結論」、「報告」の注目点及び主な人事異動について、改めて整理しておく。

金正恩の第2議題(本年上半期総括)に関する「結論」、第3議題(コロナ防疫)に関する「報告」の注目部分

  • 上半期活動結果に関し、「進一歩の成果」と肯定的評価。国防建設:「国家安全に対する担保と信頼の基礎を固める上で歴史的前進」、経済部門:「多くの部門の生産を増加させ全般的経済に上昇推移」、コロナ防疫:「突発的な非常防疫事態の中で安定と発展速度を確実に維持している。・・(経済部門で)一時的に醸成された混乱を迅速に整頓し、非常状況の要求に即して事業を緻密に組織指揮し経済政策執行を頑強に推進した」
  • 下半期に向けた課題:「金属、化学、電力、石炭工業をはじめとした基幹工業部門の下半年度闘争方向と実行対策を具体的に提示」とのみ記述の一方、「農事と消費品生産を今年経済課題中の急先務として提起」、農業・軽工業部門に関しては各種課題を列挙。「農村住宅建設の初年度課題を必ず遂行」も訴え
  • 外交安保関連:「我が国家の安全環境は極めて深刻で周辺情勢はより極端に激化しうる危険性を帯びており・・国防力強化のための目標占領をより促進することを催促している」「自衛権はすなわち国権守護問題であり・・国権を守護する上では少しも譲歩しない我が党の強対強、全面勝負の闘争原則を再闡明」「対敵闘争(従前は「対南関係」と表記の部分)と対外事業部門で堅持すべき原則と戦略戦術的方向が闡明された」
  • コロナ防疫活動関係:「突発的な重大危機を経て封鎖中心の防疫から封鎖と撲滅闘争を並行する新たな段階に入った現情勢」において、「当面する防疫危機を成果的に打開するとともに国家防疫能力建設を同時的に力強く推進」を訴え、保健制度充実等にも言及。「人民の自覚的一致性を基盤とした防疫」も強調、「思想動員」をはじめとした党組織の役割発揮を督励

主な人事異動内容

  • 経済関係:党秘書・経済部長(全現哲・政治局委員)、党軽工業部長(韓光相・政治局候補委員)、党科学教育部長(李忠吉)、内閣副総理(全勝極)、食糧工業相、商業相、国家科学技術委員長
  • 軍・治安関係:軍総参謀長(李泰摂・政治局委員・軍事委員)、軍総政治局長(鄭慶沢)、軍保衛局長(趙慶哲・軍事委員)、軍総参謀部偵察総局長(李創浩・軍事委員)、社会安全相(朴守日・政治局候補委員・軍事委員)、国家保衛相(李創大・政治局候補委員)、党軍需工業部長(推測:趙春竜)
  • 党組織関係:党検査委委員長・党秘書(金在龍)、検査委委員(金仁哲・社会安全省副相)、内閣政治局局長・内閣党委員会責任秘書(金豆日)
  • 外交・対南関係:外務相(崔善姫・政治局候補委員)、党統一戦線部長(李先権)