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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月13日 党中央委秘書局会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が6月12日、金正恩が「司会」して開催されたことを伝える記事を掲載した。

 同記事は、会議出席者として、金正恩のほか「秘書である」趙勇元、朴正天、李炳哲、李日換、金在龍、全現哲、朴泰成の名前を挙げている。この7人が先の中央委員会での人事異動を経た秘書局の現況であろう。各人の担当分野については、次のとおりと推測できる。

  • 趙勇元:組織(組織指導部長兼任)
  • 朴正天:軍事
  • 李炳哲:軍需
  • 李日換:宣伝扇動
  • 金在龍:検査・統制(中央検査委員会委員長兼任)
  • 全現哲:経済(経済部長兼任)
  • 朴泰成:科学・教育(韓国報道による推測。今次会議で政治局委員に復活)

 会議で討議された議題は2点あった。1点目は、先の中央委員会全員会議決定を受け、「本年党及び国家事業全般において党組織の役割を決定的に改善することについての問題」であり、「該当する革命的課題を設定した」とされる。

 2点目は、党内規律の強化についてであり、これが同会議の中心テーマであったと思われる。金正恩が「一部党幹部の中で現れている勢道(権力乱用)と官僚主義をはじめとする不健全で非革命的な行為を標的」にして、「党中央検査委委員会と地方の各級及び基層規律監督体系をより強化するための組織機構的対策と効率的な事業体系を樹立」するとともに「検査委員会の事業補佐機構である規律調査部署の権能と職能を拡大強化」するなどして、「厳格な監督事業体系と規律審議秩序、厳正な罰則制度を実施」するよう指示したとされる。

 こうした党内規律強化の動きは、先の中央委員会全員会議において、中央検査委委員長が更迭され、組織指導部長を務めていた金在龍がその後任に任じられたこととも関連するものであろう。また、同会議で行われた「党規約・解説集」の修正・補充も、具体的内容が明らかにされていないが、あるいは、そうした規律強化のためのものであった可能性も考えられる。更に言えば、5月17日に開催された政治局常務委員会会議において、「党中央指導機関メンバーの活動に現れた優欠点を全面的に分析」し、金正恩が「国家指導幹部の非積極的な態度と弛緩性、非活動性」を批判したことなどとも符合する。

 そうした意味で、今次秘書局会議で示された方針・措置などは、全員会議以前から続く一連の流れの延長線上のものといえる。

 ただ、そうであるならば、規律強化の必要性などについて、金正恩が全員会議の場で、出席した全国の幹部に直接、訴えてしかるべきところと考えられるが、報道された限りでは、全員会議では、そうした問題について直接的な言及はほとんどなされていない。あるいは、実際には、異例にも第1の議題とされた「組織問題」(人事)審議に際し、更迭される人物に対する官僚主義批判などがなされたが、それは報道されなかったといった可能性も考えられなくもないが、何か釈然としない印象を拭えない。