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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年5月18日 政治局常務委員会会議を開催、防疫対策を督励

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が5月17日、金正恩の指導の下、開催されたことを報じる記事を掲載した。骨子は、次のとおり。

  • 主要議題:①「当面の防疫政策実施と最大非常防疫状況における党及び国家政策執行方向に関する研究討議」、②「上半年度党及び国家政策執行状況に対する実態報告資料を了解」し、「(6月上旬開催予定の次期)全員会議に提起する文件と組織問題議案を討議」
  • 幹部に対する統制強化:「党中央指導機関メンバーの活動に現れた優欠点を全面的に分析」。「各級党組織と指導幹部、国家機関幹部が・・(諸般事業で)主動的役割を行うようにする問題」「各級党組織と指導幹部、国家機関幹部が無能と保身で地位を保てないよう・・掌握統制をより強化」「党内の規律調査、検査事業をより強化」「党中央委員会秘書局と各部署の機能と役割をより高める問題」などを討議。金正恩も、「秘書局と政治局の活動において現れている制限性と欠陥を分析・・それを克服するための対策」を提示
  • 防疫関係:国家非常防疫司令部の報告書を了解、現行政策の正当性などを認定。「今日のような好転推移が持続し、防疫形勢が変化するに即して国家防疫政策を不断に機動的に調整」を討議。医薬品供給是正のための「事業展開状況を集中了解」、「医薬品普及中心」「全国的な地区別治療中心」の設置などの「防疫対策案」研究を段取り
  • 金正恩の「結論」:①「国家の危機対応能力の未熟性、国家指導幹部の非積極的な態度と弛緩性、非活動性」を批判、「国家の統一的な指揮体系と服従体系を補強」、住民に対する「教養と統制を強化」を指示。②当面は感染防止と治療に集中しつつ、「展望的な脅威と挑戦に対応できる物資技術的準備事業を多方面的に積極化」し、「保健防疫制度と体系を補強」を指示。③「人民生活分野を安定させるため・・生活保障と生活物資供給」、「治療需要と条件を最大限保障」に努力、「社会的動向と群衆の声を重視し、適時に了解対策」を指示、④「各級党機関と政権機関、社会の各部門の思考と活動を党中央の決定と指示に無条件的に統一させすべての国家活動において党中央との一致歩調を自覚的に義務的に維持するよう」指示。特に、党組織、党幹部の奮起を督励

 

 また、別途掲載された国家非常防疫司令部の通報に関する朝鮮中央通信記事の骨子は、次のとおりであった。

  • 5月16日18時から17日18時まで、全国的に23万2,880余名の発熱者が新規発生。完治者20万5,630余名、6名が死亡。
  • 4月末から17日18時までの発熱者総数は、171万5,950余名。うち102万4,720余名が完治、69万1,170余名を治療中。死亡者総数は62名。

 

 確かに、発熱者の新規発生数は、減少傾向とも言えるが、果たして「好転」と評価できる状況なのかは疑問である。例えば、治療中の者の数は、増加傾向にあるし、発表されていない重症患者数などはどうなのであろうか。死者数は、余りにも過少で、信用できない。死亡率を発症者の0.1%と相当低く見積もっても、早晩、千人単位の死者が出ることは不可避ではないだろうか。

 一方、金正恩は、幹部の責任追及に余念がない模様で、来月の中央委員会全員会議で、それを人事に反映させるつもりなのであろう。