rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年12月29日 党中央委第8期第6回全員会議拡大会議3日目の状況

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議3日目(28日)の状況に関し、概略次のような記事を掲載している。

  • 金正恩が第1議題に関する「報告」を継続:「今年の我が党の活動」に関する総括及び今後の重点課題(①道党委員会・道党責任書記の役割向上、②党思想事業の実効性と効率性向上、③幹部事業の革新、④党中央委員会部署幹部の責任性、積極性発揮など)
  • 「提議」、「討論」:「国家事業全般で至急解決すべき対策的問題に関する内閣総理金徳訓同志の提議」、「諸部門指導幹部の討論及び書面討論」
  • 「部門別分科」の組織:金正恩「報告」に提示された「綱領的課題貫徹のための決定書草案について研究及び協議会を実施する」ため
  • 第2議題:「組織問題を討議」
  • 第3議題:「2022年度国家予算執行状況と2023年度国家予算案について」の討議のための「国家予算審議組」を構成、「文献草案研究」を開始
  • 「会議は継続される」

 前述のとおり金正恩「報告」の最後の部分は、党組織関係であった。それに関し、昨日の本ブログで「主な分野は概ねカバーされたように思える」と書いたのは、2日目における幹部の執務姿勢関係への言及が党組織関係の中でなされたと誤解していたためで、実際は、それはそれとして、党組織関係については、改めて最後に論じられたわけである。なお、党関係では、従前は、比較的、基層組織に督励の重点を置いていたように思うが、今回は、道級組織及び中央委部署に焦点が当てられたのが特徴といえよう。

 総理の「提議」及びその他の「討議」は、おそらく第1議題の枠内において、前者は金正恩「報告」の補足のため、後者はそれを受けてのものと思われる。ただ、党中央委の会議でこうした総理の「提議」が行われるのは異例であり、その狙いなどが注目される。結果的に先般、序列が上昇した金徳訓の存在感が更に強められた印象がある。

 第2議題の「組織問題」(人事)の討議結果についてはまったく言及がない。「組織問題」の結果はある程度公表されるのが通例であり、ここで言及がないのは何故なのか、「討議」だけして、採決はされていないのか、あるいは、公表できない格別の理由があるのか、もう少し様子を見る必要があろう。

 いずれにせよ、4日目以降は、第1議題に関する分科別の「研究及び協議会」が開催されるのであろう。また、それと並行して国家予算案の審議も行われ、後日、それらを踏まえて、それぞれの決定が採択されるのであろう。ただ、議題は5つとされているので、残り2つの議題が何になるのか気になるところである。