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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年5月21日 党中央委政治局協議会をまたも開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記協議会が21日、金正恩の「指導」の下、開催されたことを伝える記事を掲載した(つまり、即日報道)。

 同記事によると、議題は、①防疫政策のより効率的な調整実施、②中央委員会の次回全員会議の準備、についてであり、それぞれの骨子は、次のとおりである。

  • 防疫対策関係
    • 国家非常防疫司令部の報告(後述)を聴取。防疫活動の状況に関し、「全国的な伝播(感染)状況が漸次抑制され、完治者数が日々増加し、死亡者数が顕著に減少するなど、全般的地域において安定勢を維持していることについて評価」
    • 金正恩が「(非常防疫態勢移行後の)9日間の防疫事業実態を概括分析」。「肯定的推移を見せている」としつつ、「全般的防疫戦線において引き続き勝勢を堅持していくとともに、経済全般を活性化できるよう各方面の対策」を指示。あわせて、「国家危機対応能力の画期的発展を成し遂げる機会」とすべきことを強調
    • 地区別治療中心、医薬品普及中心・医薬品普及拠点の設置運営、高麗薬の積極利用、製薬工場の生産能力増加、保健部門の物質技術的土台の強化などに関する政策的措置を策定
  • 次回全員会議準備
    • 本年上半期の党・国家政策執行状況を全面的に了解するための実務指導分組を各道に派遣
    • 分組の任務は、「非常防疫体系稼働状況」と共に「工業部門の生産と農業部門の営農工程別実態を正確に了解掌握」し、「地方党、政権機関、勤労団体の機能と役割をより高めるための事業を発展的見地から積極的に指導援助」すること。更に、「把握したところに基づき革新的な対策案」を検討し、「全員会議に報告し、該当する決定に反映できるようにする」こと
    • 分組の編成は、政治局常務委員と中央委秘書を基本とし、中央委該当部署幹部、内閣、司法検察部門の必要な人員を含む

上記報道を受け、これまでに発表された感染状況を改めて整理すると次のとおりとなる。

期間 新規発熱者 死者 完治者 治療中 発熱者累計 死者累計
5月12日 18000       350000 6
5月13日 174440 21 81430   524440 27
5月14日 296180 15 252400 324550 820620 42
5月15日 392920 8 152600 564680 1213550 50
5月16日 269510 6 170460 663910 1483060 56
5月17日 232880 6 205630 691170 1715940 62
5月18日 262270 1 213280 740160 1978230 63
5月19日 263370 2 248720 754810 2241610 65
5月20日 219030 1 281350 692480 2460640 66

 こうした状況もって、直ちに「安定勢を維持」とか「肯定的推移を見せている」と言えるかはともかく、金正恩としては、「国家非常防疫戦を引き続き強度高く展開すると同時に、社会主義の全面的発展のための党の路線貫徹闘争を中断なく頑強に推進」することに余念がないのであろう。今次、協議会における「実務指導分組」の編成・派遣決定の主な狙いは、そうしたの「党の路線貫徹」の督励にあるのではないかと考えられる。

 それにしても、「発熱者」に比して、これほど死者が少ないのはどういうことだろうか。過少統計にしても、度が過ぎる気がする。