rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年5月24日 コロナ感染抑制に自信感誇示

 

 本日、報道された国家非常防疫司令部の通告によると、23日まで、新規発熱者は、4日連続の減少、同日の死者はとうとう「なし」ということで、コロナ感染抑制に成功しつつあるとの強い自信感がうかがえる。これまでの発表骨子を改めてまとめると次のとおりとなる。

コロナ感染状況に関する国家非常防疫司令部の通報骨子
14日以降の期間は前日18時~当日18時。死者を除く人数は「〇〇余名」と表記
             
期間 新規発熱者 死者 完治者 治療中 発熱者累計 死者累計
5月12日 18000       350000 6
5月13日 174440 21 81430   524440 27
5月14日 296180 15 252400 324550 820620 42
5月15日 392920 8 152600 564680 1213550 50
5月16日 269510 6 170460 663910 1483060 56
5月17日 232880 6 205630 691170 1715940 62
5月18日 262270 1 213280 740160 1978230 63
5月19日 263370 2 248720 754810 2241610 65
5月20日 219030 1 281350 692480 2460640 66
5月21日 186090 1 299180 579390 2646730 67
5月22日 167650 1 267630 479400 2814380 68
5月23日 134510 0 213680 400230 2948900 68

 本日の「労働新聞」の社説「党中央の周囲に一致団結した偉大な力で防疫大戦の凱歌を高く轟かせよう」は、そうした「実績」を前提に、「防疫戦において勝勢を主動的に確固として堅持するための革命的で積極的な対策を相次いで取って下さり、平壌市内の薬局を訪れ医薬品供給実態を直接了解された敬愛する総秘書同志の革命活動の知らせは、我が人民すべてを無限に激動させている」として金正恩の指導を称えると同時に、「今日の防疫大戦は、人民のための滅私服務する朝鮮労働党の革命的本態のはっきりとした実証となり、我々の一心団結の強固性と不敗性を余すところなく誇示する重要な契機となる」と述べて体制の優越性を主張する根拠として活用する姿勢を示している。

 こうした趨勢がこのまま続けば(そして、それが感染の実情をある程度反映しているのであれば)、「6月上旬」に予定されている中央委員会全員会議は、「防疫大戦の勝利」を金正恩の偉大性及び体制の優越性の根拠として、大々的に喧伝すると同時に、その勢いで、今年度下半期の経済計画貫徹を呼びかける場となるのであろう。

 それにしても、本当に今北朝鮮が進めているような方法で(例えば、ワクチン接種もないままで)コロナの蔓延を抑制することが可能なのであろうか。「隔離」対策に鍵があるのだろうか。それなら、何故、同様の対策を取る中国では抑制が成功しないのだろうか。科学的な解明がまたれるところである。