rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月13日 中央委員会第8期第2回全員会議フォローアップ

 

 本日の「労働新聞」は、冒頭に「党大会が提示した闘争綱領の輝かしい実行へと力強く鼓舞推進する偉大な戦闘的旗幟 朝鮮労働党総秘書同志が党中央委員会第8期第2回全員会議でなさった報告に接した幹部達の反響」との共通題目の下、経済部門幹部の投稿記事をまとめて掲載している。

 まず、「科学的な方途を探し求め、経済事業で実際的な革新を」と題する内閣副総理양승호の記事は、「今年の戦闘目標を党第8回大会の思想と精神に立脚して発展志向性をもって立てられなかった根本原因は、我々経済指導幹部が保身主義、敗北主義的観点を根こそぎにすることができず、いまだに困難な条件と環境に捕らわれていることにある」と自己批判した上で、「非常に覚醒奮発し新たな出発をする」との決意を述べ、具体的には「人民経済のすべての部分と企業体の生産物を中央集権的に統一的に掌握し、生産消費的連携を結び付ける事業を迫力を持って推進し経済全般が円滑に活力を持って動くよう経済事業と方法を絶え間なく革新していく」との方向性を示している。

 また、これに続く「重い責任を自覚し新たな出発をする」と題する記事には、金属工業相と化学工業相 の投稿が、「党と人民の期待を常に心に刻んで」と題する記事には、北倉火力発電連合企業所、徳川地区炭鉱連合企業所、大安重機械連合企業所の各支配人の投稿が掲載されている。

 これら一連の記事の掲載は、先の中央委員会会議の主たる狙いが経済部門幹部の「保身主義」を批判し、「覚醒奮発」を促すことにあり、その目指す政策の方向性は、国家の統一的指導力の強化にあったことを改めて示すものといえよう。ただ、中央委会議では、人民生活部門の目標が不十分であったことが批判の中心であったような印象だが、この記事に投稿したのは、重化学工業部門の幹部であることにはやや違和感もある。軽工業部門などからの「決意表明」は、改めてということだろうか。

 ちなみに、内閣を代表する形で投稿記事を出したのが양승호副総理であったことが注目される。というのは、経済計画立案の不備という問題の原点からすると、本来であれば、最も反省し「覚醒奮発」すべきは、国家計画委員長兼任の박정근副総理であるべきと考えられるからである。推測であるが、同人は、解任されたのではないだろうか。

 仮に、同人が解任されたとすると、昨日の報道で解任が明らかになった金斗日党秘書兼経済部長と並んで、先の党大会時に抜擢されて内閣、党の経済部門の事実上の責任者に配された人物(박정근は、それまで国家計画委第1副委員長。この時政治局候補委員に、その後の最高人民会議で副総理兼国家計画委委員長に就任。金斗日は、それまで平安南道党委員長、このとき政治局委員に抜擢)がそろってわずか1か月で更迭されたことになる。「任命責任」という話は起きないのであろうか。