rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月7日 党大会代表の構成変化について

 

 昨日の本ブログ末尾で、金正恩の「開幕辞」の中に党大会代表の職業別構成比(政治イルクン代表1959人、国家行政経済イルクン代表801人、軍人代表408人、勤労団体イルクン代表44人、科学・教育・保健・文学芸術・出版報道イルクン代表333人、現場で働く核心党員代表1455人)が示されたことを紹介した。

 ここで、各集団の全体に占める構成比及びその前回大会との変化について整理しておく。

 まず、各集団の全体(各集団の人数合計=5,000人)に占める比率を見る。なお、「勤労団体イルクン」は、事実上、党組織と一体となって大同小異の活動をしているとみられるので、党幹部を指すと見られる「政治イルクン」と合計して「党関係機関」とする。また、「科学・教育・保健・文学芸術・出版報道イルクン」は「知識人」と表記する。

そうすると、党関係機関代表:40%、国家経済行政機関代表:16.2%、軍人代表;8.2%、知識人代表:6.7%、現場核心党員代表:29.1%、となる。

 次に前回大会の代表構成との変化を検討したいが、今回と同じ分類での人数に関する資料を入手できないので、1月6日付けの韓国聯合通信が報じた「全国各組織党代表構成」と題する図表を基礎にしたい。同図表によると、前回の代表構成は、党政治部門代表1,545人、行政経済部門代表423人、軍人代表719人、現場核心党員代表786人とされている。ただし、これを合計すると、3,473人となり、前回大会の際の「議決権行使代表3,467人(このほか発言権代表200人)」との発表と一致しないが、他に適当な資料が見つからないので、とりあえずこの数字をベースに各部門代表の構成比を算出する。

 そうすると、党政治部門:44.5%、行政経済部門:12.2%、軍人:20.7%、現場核心党員:22.6%となる。

 これを今回の構成比と比較すると(同図表には、勤労団体イルクン及び知識人の項目が設けられておらず、正確な比較はできないのだが)、少なくとも、軍人代表の構成比が顕著に減少(20.7%→8.2%)していることは間違いないといえよう。そして、その減少分は、国家経済行政機関、知識人、現場核心党員の代表の増加に充てられたとみられる。一方、党政治部門についても、若干の減少が見られるが、今回は、党の出版報道部門関係者などが「知識人」に分類された可能性もあり、有意な減少であるのかは断言しかねる。「先軍時代は、遠くなりにけり」ということだろうか。