rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月28日 平壌市思想イルクン会議開催

 

 「首都の思想イルクンが斬新な宣伝扇動によって正面突破戦の進撃路を開いていこう」と題して、標記会議が1月27日、人民文化宮殿において開催されたことを報じる記事が掲載された。

 会議開催の目的は、もちろん、「(先の)全員会議において提示された綱領的課題を決死貫徹するための闘争において思想イルクンの責任と役割をまっとうするため」であり、それに即した「報告」及び「討論」が行われた。その内容については、特段の新味もないので紹介は省略したい。

 興味をひかれたのは、「思想イルクン」とは、具体的にどのような人々を指すのかである。参加者についての記載は、「平壌市党委員会委員長金能午同志と市内の党、勤労団体イルクンたち、党宣伝イルクンたち、模範的な学習講師、講演講師、扇動員、5戸担当宣伝員、出版物普及員、革命史跡部門講師たち、放送員、芸術宣伝隊員たち」となっている。

 ここで、「党・勤労団体イルクン」の「イルクン」は幹部の意味であろう。「党宣伝部門イルクン」は、宣伝部門の幹部及び職員全般を指すと考えられる。その次の「模範的な」がどこまでかかるのか定かでないが、「学習講師」だけでなく、「たち」のつかない「出版物普及員」までにかかると思われる。それらは、いずれも他の職種についている人が兼業している役割と見られるからであり、そのうちの「模範的な」人だけがこの会議に参加したということではないだろうか。その後の「革命史跡部門講師たち、放送員、芸術宣伝隊員」は、宣伝部門の各種現場で働く専従勤務員であろう。

 こうした様々な人々が、党宣伝扇動部の傘下で、広い意味での「思想教養」活動を行っているということになる。

 なお、この会議に関し興味深いのは、「会議に先立ち、「(会場となった)人民文化宮殿前広場においては、宣伝扇動力量と手段に対する隊列検閲及び機材判定が行われた」ことである。「隊列検閲」というのは、軍隊の「閲兵式」のようなものであろう。記事には、集団で旗を振っている写真が添えられており、整列しただけでなく、その種の実演も行われたのであろう。また、「機材」としては、「放送宣伝車」に加え、「赤旗、音響増幅式メガホン、太鼓、扇動員カバン」など、各地域が工夫をこらして準備・制作した多種多様な「宣伝扇動機材」が展示されたとされる。

 形式的に会議を開くだけでなく、あわせて、実働人員・機材の確認・点検を行うというのは、記事標題があえて「斬新な宣伝扇動」をうたっていることとも符合するもので、いかにも実務性・実際性を重視する最近の風潮を反映しているといえよう。