rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月27日 論説「正面突破戦は雄大な変革過程」

 

 「正面突破戦」が国内各単位はもとより国民一人一人における変革を求めるものであることを主張する内容。

 冒頭で、「今日の正面突破戦は一部の分野単位にだけ極限されない。それは、すべての部門と単位、各公民の事業と生活を包括する雄大な変革過程となる」との命題を示した上で、変革の必要性を部門・単位及び公民の二つの次元から主張している。

 まず、「正面突破戦」が国内各分野を包括するものであることについて、「すべての部門、すべての単位において自らの事業を根本的に革新することを要求」しており、「すべての部門と単位が正面突破戦の戦線であり、戦闘部隊である」と強調している。

 次に、それが単位・機関のみならず各個人に及ぶものであることについて、「各公民の事業と生活において根本的な転換を起こすことを要求」していると主張する。そして、その趣旨について、「銃を突き合わせている戦場においてだけでなく、我々が生活しているすべての場所で帝国主義との熾烈な対決と競争が繰り広げられている。すべての職場が社会主義守護戦の前哨線であり、今日の一刻一秒は社会主義前進過程である。したがって、現時期、各公民の事業と生活において根本的な革新を起こすことは、単純な事業気風と生活方式の改善に関する問題ではなく、社会主義建設の勝敗と直結する深刻な政治的問題」であると説明している。

 本論説は、以上のように「正面突破戦」の対象について、それが国内のすべての単位さらには個人に及ぶものであることを主張しているが、そこでの「変革」ないし「革新」がいかなるものであるかについては、「根本的」とするだけで、具体的な言及はしていない。それについては、従前の「正面突破戦」に関する様々な論説においても、特段の組織的・制度的変更などをうかがわせるものがないことから、総じて意識改革的な意味で用いられていると考えられる(しいて言えば、内閣の企業に対する指導権限の強化などか)。 

 そういった意味で、本論説は、「正面突破戦」が「敵との闘争」「社会主義擁護」を名目としつつ、各個人の意識改革を求めるものであることを改めて示したものといえよう。

 ただ、そうした名目を振りかざし「社会主義の勝敗と直結する」と言われたからといって、個別企業の幹部、勤労者が従前の習慣化した勤務姿勢、発想などをどれだけ改めるか、疑問といわざるをえない。