rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月6日 論説「三大革命赤旗獲得運動は国家建設の力強い推進力」

 

 まず、「三大革命赤旗獲得運動」とは、1975年末ころ、金正日によって、増産を主眼とした「千里馬作業班運動」を継承しつつ、目標を思想、科学、文化の3分野に拡大し、経済分野のみならずあらゆる単位を網羅する形で開始され、今日まで続けられている全社会的運動である。国家機関や企業所などの単位ごとに、業務実績をはじめとした様々な目標が具体的に設定され、それを達成すると「三大革命赤旗」が授与される。

 標記論説は、同運動の今日的意義を改めて強調するものである。その理由は、「今日の正面突破戦」について、「すべての部門と単位、各公民の事業と生活を包括する巨大な変革過程」「古く保守的な観点と態度、働きぶりを一掃し、非社会主義、反社会主義的現象を掃き捨てるための一大殲滅戦であり、科学技術で経済強国建設の大道を開いていく頭脳戦、創造戦」と意義付けているからである。

 確かに、「正面突破戦」をそのようなものと考えれば、まさに「思想、科学、文化」の包括的革新を目指す「三大革命赤旗獲得運動」は、そのための格好の方法ということになろう。しかも、同「運動」推進のための組織・制度は、長年の経験を踏まえて既に十分整備されている。それらを活用して、「正面突破戦」に即した新たな目標を加味することにより、その具現を図るというのは、それなりに妥当な方策とも思える。

 その上で論説は、同「運動」の意義について、「偉大な将軍様金正日)の遺訓を徹底して貫徹するための政治的事業」「社会主義強国建設を促進するための重要な事業」の二つを掲げている。前者は、前述のとおり同「運動」が金正日によって創始されたことを踏まえて、同人の権威を利用するための主張といえよう。

 後者は、冒頭述べた今日的意義と同工異曲と言えるが、そこで示された「力によってはこれ以上我々をどうにもできなくなった敵対勢力どもは、・・前代未聞の封鎖圧迫策動に狂奔している」との現状認識は興味深い。軍事的脅威は、現実的なものではなくなったと見ているのである。ちなみに、このような表現は、時折繰り返されており、ここでのみ主張されたものではない。

 このような現状認識に立って、論説は、「帝国主義者どもの反動的な思想文化浸透と経済技術的封鎖が強化され、我が革命の代が変わっている現実は、思想、技術、文化の3大革命をより徹底して遂行していくことを要求している」と主張する。つまり、今大切なことは、対外的には思想文化的浸透と経済封鎖、国内的には世代交代への対応であるということで、それは、まさに思想・科学・文化分野における課題ということであろう。なお、ここで「文化」というのは、芸術・学問といったことだけでなく、昨日(4月5日)のブログで紹介した「生産文化、生活文化」といった概念も含むものと考えられる。また、「革命の代が変わる」ことが取り上げられているのは、4月3日の本ブログで紹介した「青年教養」の中で指摘されたような現象が深刻かつ根本的な問題になっていることを改めて示すものといえよう。