rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月25日 論説「我が党の革命思想は科学であり勝利である」

 

 標記論説をとりあげたのは、11月12日付けの本ブログで論じた「金正恩同志の革命思想」との表現に関連するからである。

 論説は、まず、標題の趣旨について、「我が党の革命思想と路線は、人民大衆の志向と要求を最も正確に反映している」とした上で、「人民に対する観点と立場は思想と路線の科学性と正当性を規定する基準である」ことを根拠に、「(我々の)思想と理論、路線と政策が科学であり、真理であり、勝利であるということは改めていうまでもない」と主張する。

 そして思想の内容について更に敷衍して、「我が党の革命思想、指導思想である偉大な金日成金正日主義は、本質において人民大衆第一主義であり、我が党の存在方式も人民のために滅私服務することである」と主張する。

 論説は、これに加えて、「我が党の革命思想と路線」の利点として、「主客観的条件と環境に機敏に対処し、禍を福に逆境を順境に転換させることができる強力な宝剣である」こと、「最短期間内に最上の成果を為しとげることができるようにする威力ある実践の武器、革新の武器である」ことなどをあげ、こうした「我が党の路線と政策は、敬愛する総秘書同志の革命思想の輝かしい具現である」とも主張している。(以上の下線は引用者)

 もちろん、以上のような主張の結論としては、「すべての幹部と党員と勤労者は、敬愛する総秘書同志の革命思想を信念化、体質化した真の忠臣、熱烈な愛国者として自らを徹底して準備していく」とのいつもの訴えが提起される。

 ここで注目したいのは、「我が党の革命思想」と「金日成金正日主義」及び「金正恩同志の革命思想」との関係であるが、下線で示したように、これらは、基本的に同一のものと位置付けられているようにも見える。

 ただ、強いていうならば、「金正恩同志の革命思想」については、「金日成金正日主義」をコアとしつつ、執権期間における具体的な内外情勢への対応における実践を通じて発揮された経験・実績などが付加されうる余地があるようにも思える。将来(あるいは現在内部的に)、「金正恩主義」という表現が用いられるとするならば、そうしたものを包括した概念として使われることになるのではないだろうか。