2024年2月19日 社説「全社会の思想的一色化は我が革命、我が国家の偉大さと絶対威力である」
標記社説は、1974年2月19日、金正日が「全社会の金日成主義化綱領の宣布」をした50周年にちなむものである。本日の「労働新聞」が掲載した「歴史に長く輝く2月の宣言」と題する評論も、また、それに関するものである。
同評論は、金正日の著述を引用する形で、同人が「金日成主義」を「主体思想とそれにより示された革命と建設に関する理論、方法の全一的な体系」と位置づけたことを紹介し、それを「金日成主義の定式化」と称して評価している。
ただ、不思議なことに、両記事とも、この日の出来事について、金正日が全国党宣伝活動家講習会において、「全社会を金日成主義化するための党思想事業のいくつかの課題について」と題する「結論」を述べたという具体的事実関係には言及せず、前述のような抽象的な表現にとどめた上で、その意義を縷々称揚している。
その理由は定かでないが、いずれにせよ、これら社説・評論の結論は、そうした金正日の業績を継承して、金正恩が打ち出した「金日成・金正日主義」によって「全社会の思想的一色化」を実現しようとの呼びかけである。とりわけ、社説は、更に一歩踏み出して、「偉大な金正恩同志の革命思想で徹底して武装しよう!」とのスローガンを強調している。「金日成・金正日主義」と「金正恩同志の革命思想」が共に強調されているのである。
なお、この点について、韓国などでは、「金日成・金正日主義」が「金正恩主義」に置き換えられることの前兆との見方が強く、先般には、「既に内部的には『金正恩主義』との表現が使われている」との「内部情報」が取りざたされたこともあったように記憶している。
しかし、私は、その見方を取らない。「主義」は「主義」、「思想」は「思想」である。金正日時代の指導イデオロギーが一貫して「主体思想」を核とする「金日成主義」であったことを勘案するなら、金正恩時代の指導イデオロギーが「金正恩同志の革命思想」を核とする「金日成・金正日主義」であることに何ら違和感はなく、それで十分であると考えられるからである。こうした考え方は、本ブログで以前にも披歴したところであるが、今日は「金日成主義」提唱50周年の記念すべき日であるので、改めて駄弁を弄した次第である。