rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月17日 金正日逝去12周年に際し、関連記事を多数掲載

 

 本日の「労働新聞」は、金正日逝去12周年に当たることから、関連の動向や金正日を追慕・称賛する関連の評論・記事を多数掲載している。

 その筆頭に掲載されたのは、金正恩が16日、錦繡山太陽宮殿を訪問したとの記事である。同行者については、「常務委員会員である金徳訓同志、趙勇元同志、崔竜海同志をはじめとした党と政府の幹部と党中央委員会責任幹部、省、中央機関、武力機関幹部が参加した」と報じている。また、添付写真の中には、金予正の姿も見える(金正恩よりは何列も後ろであるが)。一方、中央軍事委副委員長・李炳哲の姿は確認できない。ちなみに、昨年の金正日の命日に際しては、金正恩の同宮殿訪問は報じられなかった。

 また、「社説」としては、「偉大な領導者金正日同志の強国念願を奉じ全面的国家復興の新時代を力強く開いていこう」が掲載された。その前段では、金正日の偉大性・業績を縷々称賛しているが、後段に至ると、「敬愛する(金正恩総秘書同志の賢明な領導により我が国家のすべての事業が徹頭徹尾偉大な(金正日将軍様式のとおりに、将軍様が望まれたとおりに進行されている」と主張した上で、「全党と全社会を金正恩同志の革命思想で一色化しようとのスローガンをより高く掲げ、党中央が提示した思想と路線により徹底して武装し事業と生活に一貫して具現」すること、「敬愛する総秘書同志の唯一的領導を生命線として堅持し、革命と建設において提起される問題を党中央の結論にしたがって処理する強い革命的規律と秩序をより厳格に立てる」ことを求めている。そして、最後は、「皆が偉大な金正恩強国の光明な未来を促進するためより力強く戦っていこう」との訴えで結んでいる。

 結局、同社説は、標題では「金正日同志の強国念願」を掲げつつも、具体的に求めているのは「金正恩強国」の実現の促進である。もちろん、そうした訴えは、前述のような、金正恩金正日の望んだとおりを実現しつつあるとの主張が前提になっているが、そうした主張が「擬制」であることは言うまでもないであろう。