rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月17日 金正日逝去10周年関連動向

 

 本日は、2011年12月17日に金正日が死去して10周年にあたる。「労働新聞」は、これに関して、12月に入って以来、金正日追慕の記事を種々掲載してきたが、17日には、社説「偉大な領導者金正日同志は我が党と革命の永遠の首領であられ、主体の太陽であられる」、政論「江山にあふれる人民のなつかしさ」をはじめとした関連記事を満載している。

 このうち社説では、「偉大な領導者金正日同志は常に我が人民と共におられ、屈することを知らない必勝の力と闘争意志を抱かせて下さり、信念の強い柱を打ち立てて下さる我が党と革命の永遠の首領であられ、主体の太陽であらせられる」などとの金正日賞賛に続けて、「過ぐる10年間の戦闘的行程において我が人民は敬愛する金正恩同志を高く奉じて偉大な将軍様金正日)の聖なる革命歴史が粘り強く流れ将軍様の生涯の志と念願が現実として花開くであろうとの哲理を心臓深く刻んだ」などとして、金正恩の指導の下での金正日の偉勲実践を強調した上で、「敬愛する金正恩同志を中心とする我が党と革命隊伍の一心団結をくまなく強化していかなければならない」といつもの訴えを繰り返している。

 また、関連行事としては、「偉大な領導者金正日同志逝去10周年に指しての徳性発表集会」が、職業総同盟(15日)、青年同盟(16日)、女性同盟(16日)などの団体ごとに実施され、同じく逝去10周年に際しての「中央美術展示会」が15日に開幕したことなどがそれぞれ報じられている。ただし、これまでのところ、「中央追慕大会」といった党高官総出の集会に関する報道はない。また、金正恩による錦繡山太陽宮殿への参拝報道もない。明日の報道をまちたい。

 なお、各種勤労者団体の前述集会には、리두성(李斗成・音訳)党中央委部長の出席が報じられている。同人については、11月25日付け本ブログで党中央委に復活したとされる文化芸術部の部長ではないかとの推測を記したが、こうした動向から判断すると、現在は、勤労団体部長であると考えられる。

 もともと、第8回党大会の時点では、勤労団体部長は李日換(政治局委員)であった。しかし、その後、党大会当時に宣伝扇動部長であった朴太成(同)がまもなく姿を見せなくなり、李日換がその後を襲ったとみられることから、玉突きのような形で、大会当時は文化芸術部長であった李斗成が勤労団体部長に異動したのではないだろうか。

 では、その後、文化芸術部長はどうなったのか、確かなことは分からないが、一つの可能性としては、空席になっていることも考えられる。というのは、前述「中央美術展示会」開幕式への党中央委からの出席者として名前を報じられたのが「副部長조경준(趙慶準・音訳)同志」だけであるからである。同行事の性格からして、仮に文化芸術部長がいるのであれば。その者が出席してしかるべきところと思われる。そこから推測して、現在、同部は、部長空席のまま、趙副部長がその代役を務めている可能性を指摘できると考える。