rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年8月25日 論説「偉大な領導者金正日同志の革命武力建設業績は永遠不滅である」

 

 標記論説は、いわゆる「先軍節」に際してのものであるが、文章中では、「今日は、偉大な領導者金正日同志が革命武力に対する最初の足跡を残された歴史のその日から62周年になる日である」と説明しただけで、「先軍節」という言葉自体は用いていない。こうした表現方法は、24日に行われた女性同盟の慶祝舞踏大会に関する記事でも同様である(今年に始まった現象ではなく近年の通例)。

 同論説は、「金正日同志の革命武力建設業績」として、次の3点をあげている。

 第1は、「我が人民軍隊が永遠に党中央の思想と領導に限りなく忠実な革命的党軍として威容を轟かすようにした」ことである。端的に言えば、軍が「党中央の思想と領導に絶対に忠実である」ようにしたということである。

 第2は、「我が人民軍隊が最強の力を帯びた無敵必勝の先頭隊伍として強化発展していく」ようにしたことで、換言すると、「国防工業を強力な革命に兵器廠として転変させ」、その結果、「我が祖国は、世界的な軍事強国、堂々たる核保有国の地位に登り立った」ことを称賛している。

 第3は、「我が人民軍隊が祖国の富強繁栄と人民の幸福のための巨大な闘争において絶え間ない奇跡と偉勲を創造することができるようにした」ことである。「人民軍隊は、国家防衛の主体としてだけではなく、社会主義建設の主要戦区において進撃の突破口を切り開く旗手、突撃隊にならなければならない」というのが金正日の考えであったという。

 論説は、そうした業績を列挙した上で、「金正日同志の革命武力建設業績は、今日、敬愛する金正恩同志の領導の下でより燦然と光を放っている」と主張している。

 こうした論説の表現方法及び趣旨からは、今日、「先軍」という概念が、本来、その核心をなしていた「軍事優先」という発想を形骸化させ、軍に対する首領の領導を大前提に、その指導に基づく軍事力の増強や軍部隊の経済建設への活用などを強調するものへと換骨奪胎させられていることを改めて確認することができよう。