rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月17日 金正恩「命日」関連動向

 

 今日は、金正日の死去9周年ということで、「労働新聞」は、関連報道ないし追慕記事などを満載している。

 まず、金正恩が「党と政府の幹部達と武力機関の責任幹部達」を帯同して錦繍山太陽宮殿を参拝したことが報じられた。日付は明示されていないが、「(金正日)追慕の日に際し」とされていること及び本日の報道があったことから、17日の午前零時を期して訪問したとの韓国聯合通信などの見方が妥当と思われる。ちなみに同行者について、昨年は「党政治局メンバー」とされていたが、報道写真を見る限り、今年も政治局メンバー以外の軍高官が参加しているわけではなさそうで、前述のような表現に格別の意味はなさそうである。

 また、「偉大な領導者金正日同志の革命生涯は、崇高な愛民献身の一生である」と題する論説が掲載されている。これは、昨年には、「偉大な領導者金正日同志の革命業績を万代に永く輝かしていこう」と題する社説が掲載されたことと比較すると、格下げの印象を否めない。金正日追慕の記事は、今日に限らず12月に入って以来、諸々掲載されてきているが、内実は、やはり「去る人は日々に疎し」ということなのであろうか。

 なお、同論説は、金正日の「愛民献身」の主な柱として、①「人民の尊厳と運命を固く守護するための人民死守、人民保衛」に努めたこと、②「人民の幸福な生活のため」に努めたこと、③「人民を天のようにみなす崇高な人民観に基礎を置いていた」こと、④「人民の信頼を守るための決死の闘争で一貫していた」こと、をあげている。

 改めていうまでもなく、このような「愛民献身」の姿勢は、現在、金正恩が自身の姿勢として強く標榜しているところであり、同時に幹部に対しても実践を期待しているところといえよう。なかでも注目されるのは、前掲の④である。指導者の側が人民に対して一方的に恩恵を施すだけでなく、それに対する評価に基づく人民の「信頼」を獲得することの重要性を強調する考え方といえよう。論説は、これに関し、「革命家において最も貴重で価値ある財産は人民から受け取る信頼である」と述べている。それだけ幹部一般に対して強調したい点であることがうかがえる。