rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月1日 社説「偉大な領導者金正日同志の愛国念願を奉じ、社会主義強国建設を力強く推進していこう」

 

 標記社説は、今月に金正日の命日(10周忌)を迎えることにちなんで掲載されたものと思われる。このほかにも、本日の「労働新聞」は、金正日を称賛・敬慕する様々な記事を掲載している。

 社説は、前段では、「偉大な領導者金正日同志は、富強祖国建設の万年礎石を準備され主体朝鮮の明るい未来を切り開かれた絶世の愛国者」などとして、その実績を列挙・称賛する。

 後半では、「偉大な領導者金正日同志の愛国念願、強国念願は、今日、敬愛する金正恩同志によって輝かしい現実として花開いている」とした上で、「金正日愛国主義を徹底して具現し社会主義建設の全面的復興、全面的発展を成し遂げ(る)」ことを中心に論じている。ここで、「金正日愛国主義」とは、「誰が見ていようがいまいが、知ってくれようがくれまいが、祖国を支える根になり、草1本、木1本、石ころ1つでも大切にする愛国の精神」に基づいて、「家事よりも国事を重視」し、日々の仕事にいそしむことを指すものといえよう。そして、党組織に対しては、「すべての人民が金正日愛国主義を実践行動に徹底して具現していくようにすることに党事業の火力を集中」することを求めている。

 最後に訴えているのは、「敬愛する総秘書同志の周囲に鉄桶のように結集して、偉大な将軍様の不滅の革命業績を万代に長く輝かす」ことである。

 ちなみに、本日の「労働新聞」は、「皆が職場を愛し受け持った革命任務に忠実であるとき国が興る 40周年を平凡な修理工として」と題し、長年修理工として職場に貢献してきた「社会主義愛国功労者」を紹介する記事を掲載している。このような人物がまさに「金正日愛国主義」の典型的な模範なのであろう。

 社説が金正日に対し様々な称賛を加えながらも、今日、具体的に継承・実践すべき命題としては、「金正日愛国主義」だけを取り上げていることが注目される。当面、役に立つのはそれだけということであろうか。

 なお、昨日の本ブログで紹介した「5大教養」の中にも、「愛国主義教養」が含まれていた。これは、以前は、「金正日愛国主義教養」と称されていたところ、近年は「金正日」が省かれ、単に「愛国主義教養」と称されているようである。「去る者は日々に疎し」の感がぬぐえない。