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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月2日 党中央委第8期第5回政治局会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、12月1日に標記会議が開催され、党中央委第8期第4回全員会議の「12月下旬」招集について討議・決定したことを報じる記事を掲載した。

 同記事によると、今次政治局会議への参加が報じられたのは、政治局常務委員、委員、候補委員だけであった。

 金正恩は、「会議を司会された」等報じられているが、以下報じられているのは同人の発言内容ばかりで、事実上は、同人の独壇場であったと推測される。

 記事は、金正恩が今年の総括として、「党中央の正確な領導によって、党第8回大会が決定した主要政策目標が気迫を持って、戦闘力を持って推進」され、農業・建設をはじめとする「政治、経済。文化、国防部門など国家事業の全般的分野において肯定的変化が起きた」、「国の経済発展と人民生活向上にための土台を構築するために計画された全般事業が活気を持って前進している」などとして、「総(合)的に今年は勝利の年であるとの党中央委員会的な評価を下された」と伝えている。

 また、来年について「今年に負けず非常に膨大な闘争を展開すべき重要な年となる」と述べ、「党中央委員会は、新年度計画を力動的に、前進的に、科学的に、細部的にしっかり樹立」すべきとして、「全員会議準備事業と関連した布置(計画設定などの意)をされた」という。

 その上で、政治局会議は、12月下旬の党中央委全員会議招集に関する決定書を採択し、同会議の「議題を討議した」とされるが、具体的な議題内容は報じられていない。

 なお、本日の「労働新聞」は、上記決定書を別途掲載しているが、それによると、全員会議は「2021年度主要党及び国家政策の執行状況を総括し、新年度事業計画を討議決定するため」のものとされている。

 上記報道において最も注目されるのは、今年の活動成果について総じて肯定的な見方が示されていることである。ただし、それが経済分野などの実相を正直に反映したものであるのか、金正恩に対する求心力の維持(換言すると同人の示す方針、指導内容への信頼)のためのものであるのかは、慎重に見極める必要があろう。前者については、例えば、農業分野などでは自然災害の被害が深刻であった昨年に比すれば幾分か改善しているなどの成果はあるにせよ、最重点とした金属、化学部門の活性化などでは疑問がある。他方、後者に関しては、自ら「党中央の正確な領導」に言及するなど、その意図が透けて見える。今年度の執行状況の総括を行う全員会議が開催される前に、「今年は勝利の年であるとの党中央委員会的な評価」を示してしまうというのもやや強引な印象をぬぐえない。

 いずれにせよ、きたるべき全員会議の内容が注目される。