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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月28日 党中央委員会秘書局拡大会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、6月27日、標記会議が金正恩の「指導」の下、秘書局メンバーの出席に加え、党中央委の「該当部署部長たちと組織指導部第1副部長、副部長たちが傍聴」して、開催されたことを伝える記事を掲載した。なお、韓国聯合通信によると、報道写真に写っていた会議場の時計から、同会議の開催時間は、約3時間と推測される由である。

 同記事が伝える主な討議事項は、次のとおりである。

  • 各級党指導機関の事業体系を改善整備し、政治活動を強化する問題
  • 党中央委の一部部署機構を改める問題
  • 各道党委員会事業に対する指導・援助強化のための新たな体系を設ける問題
  • 党総務事業規定と機要(秘密の意)管理体系を改善する問題
  • 保衛・安全・司法・検察部門事業に対する政策的指導を強化し、当面、本年必要な事業を組織遂行する問題
  • 各級党組織幹部の政治実務的資質と事業能力を高めるための新たな学習制度を樹立する問題
  • 全党的に勤労団体(に対する指導)事業を重視し強化する問題

 更に、金正恩が「党中央委員会部署の任務と当面課題」と「全党的に党政治活動において堅持すべき主要原則と課題と方途」について「結論」を述べたという。

 今次会議は、上述のとおり討議事項が多岐にわたっており、そのテーマが判然としないが、注目されるのは、党による「政治活動」とか「政策的指導」との言葉が繰り返されている点である。私の個人的印象では(間違っているかもしれないが)、党の「政治活動」というのは、具体的に言えば、当該党組織が属する単位(例えば、企業所とか行政機関など)が上部から与えられた目標に即して、その達成方法(作業分担、責任者、目標時期、総括方法など)に関する具体的な計画を樹立した上で、当該計画の実現に向け、随時、その取組・進捗状況を点検・督励し、問題が生じた場合はあい路の発見、打開に努め、必要に応じて補完策を講じるなどして、最終的に当該単位がその目標を実現できるように指導する活動を意味する。

 今次会議は、総じて言えば、そうした党の機能・役割を中央においても、地方においてもこれまで以上に効果的に発揮させるための制度的な対策(幹部の意資向上も含めて)を講じるためのものであったのではないだろうか。

 なお、「保衛・安全・司法・検察部門」への指導強化が挙げられているのは、コロナの国内蔓延過程を通じて、その職務執行に問題が認められたことと関連があるのではないだろうか。コロナの国内発生が報じられた直後の5月15日に開催された党中央委政治局非常協議会において、金正恩が当時深刻化していた薬品の供給・流通上の問題に関し、「司法。検察部門が・・法的監視と統制をまともにできないでいる」ことを指摘し、「中央検察所所長の職務放棄、職務怠慢行為を辛辣に叱責」したことが報じられたことがあった。そうした状況に鑑みると同時に、前回の秘書局会議で討議された党内の紀綱確立、不正腐敗の剔抉などへの側面的貢献という期待も込めて、これら機関に本来の役割を十全に発揮させるべく党による指導を強化しようとしているのであろう。