rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月2日 論説「偉大な金正恩同志は我が国家第一主義時代を開かれた絶世の愛国者であらせられる」

 

 標記論説は、本日の「労働新聞」冒頭に掲げられた長大なもので、前段「1」の部分で「我が国家第一主義」の概念の下、改めて北朝鮮の現状を自賛し、後段「2」の部部分で、それを導く金正恩への忠誠と同人が提示する路線・政策への献身を訴える構成となっている。

 「1」では、まず「今日の時代を我が国家第一主義時代」と規定し、その理由として、「偉大な党の領導にしたがって、社会主義朝鮮を世界に轟かせようとのわが人民の信念と意志が非常に昇華され、国の総合的国力と位相を急激に上昇させた勝利が偉大」であることをあげる。

 北朝鮮の現状に対するこのような評価は、外部の一般的見方とは大分異なるものだが、論説は、その根拠として、次のような要素をあげる。第一は「人民大衆第一主義政治によって党と人民の渾然一体がよりしっかりと固められている」こと、第二は「自らの力を最大に増大させ、社会主義建設の飛躍的前進を促進」していること、第三は「誰も軽視できない強力な国家防衛力を準備した勝利に基づき共和国の尊厳と威容を万邦に轟かせている」ことである。

 「2」では、「我が国家第一主義は、すなわち我が首領第一主義である。首領が偉大であってこそ祖国も輝き、人民も強くなる」として、今日の状況が「金正恩同志の卓越した思想と領導、人民に対する火のような愛の輝かしい結実」であると主張する。そして、金正恩の「愛国理念、愛国意志」、「崇高な以民献身」ないし「人民に対する滅私服務精神」、「屈することのない攻撃精神」が「我が国家第一主義時代」の形成に根本的役割を果たしているとして、それぞれ具体的な業績を述べている。

 そして、最後に、「(人民が)金正恩同志の思想と領導を忠実に奉じていくことは、我が国家第一主義時代を輝かすための先決条件である」とし、なかでも、「自力更生は我が国家第一主義時代を限りなく輝かしていくための前進方向、基本闘争方式である」として、それへの献身を訴えている。

 以上、すべて自画自賛と言えばそれまでだが、北朝鮮の自己認識あるいはそうなりたいという理想の国家像を反映しているようにも思える。これに反するような政策をとることは予想しがたいといえよう。

 なお、「攻撃精神」について敷衍する中では、「最大の速度、最上の水準、これが敬愛する総秘書同志が堅持しておられる闘争方式、創造原則である」と主張している。昨日の本ブログで、金正恩は苦境を承知の上で、あえて困難な課題を提起しているのかもしれないと書いたが、まさに、それが、ここでいう「攻撃精神」の発露なのであろう。