rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月24日 社説「すべての革命陣地を3大革命化社会主義強国の未来を手繰り寄せよう」

 

 標記社説は、先般の「第5回3大革命先駆者大会」を受けてのものであり、冒頭、「(同)大会の基本精神は、3大革命を動力として国家社会生活のすべての分野、国のすべての地域の同時的で均衡的な発展を強力に推動しようということである」と主張する。

 そして、「すべての革命陣地を3大革命化」することの意義として、①「社会主義建設の強力な主体を準備するための重要な事業」、②「経済と文化をはじめとしたすべての分野を全般的に発展させるための根本担保」の2点をあげている。このうち、①については、「人々を首領に対する忠実性と社会主義信念、階級意識を体質化した強い革命闘士として育て、高い創造的能力と集団主義精神、高尚な道徳品性を帯びた人間として準備させる溶鉱炉がほかでもない3大革命である」と主張している。また、②については、「何か特定の部門、分野における発展だけ成し遂げたのではいつになっても国家経済の自立的で持続的な発展を成し遂げることはできず、我々が理想とする強国も建設できない。立ち遅れた部門と単位を決定的に押したて不均衡を克服して社会全般を皆共に充実したものに発展させようというのが我が党の志である」と説明している。

 また、そのような思想は、「(これまでの)社会主義建設過程に成し遂げた成果と経験、我々の力に対する確信に基づいている」とした上で、「すべての人民は敬愛する総秘書同志の綱領的な書簡を高く奉じ3大革命の巨大な威力によって前進途上に立ちふさがるあらゆる挑戦を粉砕し、社会主義の偉大な新たな勝利を勝ち取らなければならない」と訴える。

 更に、その推進に際して、「3大革命の火の手を高く燃え上がらせることについての党の意図を深く刻む」こと、「すべての市、郡、連合企業所において3大革命赤旗獲得運動の強い風を力強く起こす」こと、「3大革命路線を貫徹するための闘争を大衆自身の事業として力強く展開する」こと、「3大革命赤旗獲得運動と3大革命小組運動に対する党的指導を決定的に改善する」ことなどを求めている。

 以上のような社説の内容は、今次大会の趣旨を比較的わかりやすく整理していると思われる。その狙いが何であるのかを考えると、結局、これまでに主張してきた様々な目標、課題などの実現を「3大革命」という概念に包括して総合的かつ一層強力に推進していこうということであろう。そこでカギとなるのが、「3大革命赤旗獲得運動」という既に制度化された仕組みを全社会的に拡大して適用することによって、そのような取り組みを一過的・散発的なものではなく、より恒常的・計画的で、各単位の日々の業務・活動と直接連携したものとして粘り強く推進する態勢を作り上げることであろう。

 それは、様々な政治目標がスローガンだけのいわば言葉で終わってしまいがちであった状況を踏まえて、それをより実効的に及ぼしていこうという志向の表れと考えられる。ただ、そうした狙いがどの程度奏功するかは、また別の問題であることはいうまでもない。