rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年10月19日 社説「敬愛する金正恩同志の歴史的な施政演説を高く奉じ我々式社会主義の政治思想的威力をくまなく強化していこう」

 

 標記社説は、先の最高人民会議における金正恩の「施政演説」で提起された「我々式社会主義の政治思想的威力の強化」という命題をとりあげ、その重要性、実践上での要求などを論じたものである。

 まず、「我々の政治思想的威力は、社会主義の全面的復興と発展を成し遂げることができるようにする力強い推動力である」ことが強調される。すなわち、「我々が遂行する社会主義強国建設は、一部特定の分野や地域の発展だけを念頭に置いたものではなく、国のすべての地域と全般部門を均衡的に同時に発展させ社会主義建設の全戦線において新たな勝利を勝ち取ろうというもの」であること、そしてそれが現実に成果を上げつつあることが強調されている。

 次に、「敬愛する金正恩同志の周囲に鉄桶のように結集した党と革命の隊伍の一心団結を百倍に固めていく」ことを訴えている。それが意味するのは、「我々は、敬愛する金正恩同志がいらっしゃるから(こそ)すべての勝利と未来があるとの鉄石の信念を堅持」し、「首領だけを最後まで信じ、首領の構想と決心を実現するためすべてをみな捧げた革命先哲の忠誠心の伝統をしっかりと継承」することなどである。

 要するに、同社説が主張するのは、特定の部門を優先ではない、全般的発展の追求という路線の正当性と金正恩に対する無条件的な信任の堅持の2点といえる。

 このような主張は、17日の本ブログで取り上げた論説(「施政方針は我が党の理念であり構想である」)の主張ともほぼ重なるものである。このような一致は、もちろん偶然ではなく、この点が「施政演説」を行った狙いであることを示すものと考えてよいのではないだろうか。

 なお、本日、北朝鮮は、またも弾道ミサイルの発射を行った由である。詳細は、明日の北朝鮮の公式報道を見て論じたいが、最近の頻繁なミサイル発射の背景には、その開発上の必要性あるいは対外的なメッセージ発出の狙いにとどまらず、前述のような論点の徹底に躍起とならざるをえない国内的状況が存在するであろうことを指摘しておきたい。