rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年10月15日 社説「全国が党中央と思想と志、行動を共にする一つの生命体になるようにしよう」(10月16日記)

 

 標記社説は、10日の党創建記念講演会における金正恩の演説に含まれる言葉を標題にしたもので、「全国が党中央と思想と志、行動を共にする一つの生命体とすることは、すべての党組織と党員、すべての公民の神聖かつ当然の義務となる」と主張する。

 社説は、この「全国が党中央と思想と志、行動を共にする一つの生命体とすること」について、「党の唯一的領導体系を立てる事業」と位置付けつつも、同事業は「完成はありえず、革命の前進とともにより一層強化」されるべきものであり、「今までは(同事業を)党中央の領導の下に一体となって動く強い規律と事業体系を立てることを基本」としていたのに対し、「新たな高い段階へと深化発展」させた、「党の領導的権威を非常に強化できるようにする偉大な指針」と主張する。

 そして、その意味としては、「党と困難を経るとき心配と苦心を共にし、領導者の肩の上に積みあがった重い荷物を少しでも減らすため献身奮闘するということ」と説明している。

 そのために何よりも求められるのは、「現時期、我が党は・・重要な政策的課題を数多く提示している。この課題を所定の期日内に円満に遂行」することである。

 次に、「金正恩同志の偉大性に対する信念をより固く堅持」すること、すなわち、「総秘書同志さえいらっしゃれば、必ず勝利するとの鉄石の信念、党がせよというとおりにさえすれば、我々がより強大になり、より富裕になれるとの信念」を訴えている。

 更に、「情勢がいかに変化しても環境がいかに変わっても・・党中央と永遠に運命を共にする熱血の忠臣、不屈の闘士」になることを要求している。

 その上で、改めて、「党中央の構想と意図を決死貫徹する革命的気象」を求めるとともに、こうした目標実現のため「党組織が担っている任務と役割」の発揮を訴えている。

 10日の金正恩の演説「社会主義建設の新たな発展期に即して党事業を一層改善強化しよう」は、党活動の全般にわたり様々な課題を訴えた大論文であるが、その中から、「全国が党中央と思想と志、行動を共にする一つの生命体とすること」を社説のテーマとしてとりあげたということは、いうまでもなく、その点が同演説の最重要ポイントであることを示すものであろう。

そして、その点を含め、前述のような社説の主張は、同演説の最大の狙いが金正恩の権威、換言すると同人の施策、指導に対する人々の信任の確保にあるのではないかとの11日付け本ブログの指摘を裏付けるものと考える。とりわけ、「重要な政策的課題を数多く提起している」とのくだりは、それへの人々の当惑・不満を踏まえての記述のように思えるのだが、我田引水であろうか。