rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月17日 社説「社会主義の全面的発展を成し遂げることについての偉大な思想を徹底した行動実践で奉じていこう」

 

 標記社説は、冒頭に金正恩の「我が党は、社会主義の全面的発展を加速化し、近い将来に自立、自存により繁栄する社会主義強国を打ち立てようとしています」との言葉を掲げ、その趣旨を敷衍するとともに、その実現に向けた課題の実践を訴えたものである。

 まず、趣旨としては、「すべての分野、すべての部門を共に発展させ国家の富強発展を促進しなければならず、人民が住むところは互いに異なっても生活においては地域的差異が絶対にあってはならないというのが我が党の志である」と解説し、そうした「我が党の思想には、主体的力、内的動力を非常に増大させ、革命の勝利的前進をより加速しようとの鉄石の意志が脈打っている」と主張する。そこで強調されるのは、「民族自主、民族自存の精神力によって全面的発展、全面的富興の活路を開く」ことである。

 したがって、そのためにまず求められる課題は、「偉大な党の思想と領導があるが故に我々式社会主義は必ず勝利するとの鉄石に信念」、換言すると、「敬愛する総秘書同志が導かれるが故に我々式社会主義は必勝不敗であるとの信念」を堅持することである。

 それに続く課題は、「第8期第4回全員会議の決定貫徹に総邁進」すること、「社会主義建設のすべての戦線で3大革命の火の手をより強く燃え上がらせる」こと、「幹部と党組織の役割を非常に高める」ことなどである。このうち「3大革命」に関しては、「すべての市・郡・連合企業所において3大革命赤旗獲得運動を強い風を起こす」ことを訴えている。

 本社説の主張は、従前の繰り返しといえるが、第4回全員会議では言及されなかった「3大革命赤旗獲得運動」の市・郡・連合企業所への適用拡大が、同会議の決定貫徹と並列する形で改めて提起されたことが注目される。

 率直な印象を言うと、「労働新聞」の論調が金正恩の意向をそのまま反映しているのに対し、全員会議等の報道ないし決定は、それをそのままではなく、かなり実務的に再構成した形で示されているように思われる。ただし、そうした違いが、両者の役割の違いに基づく当然のものなのか、あるいは、何らかの軋轢・思惑などに基づく「齟齬」であるのかは、慎重に検討すべき問題であろう。

 なお、本日午前、北朝鮮がまたミサイル2発を発射した(平壌順安空港付近→日本海。今年に入って4回目)そうであるが、詳細は、明日出るであろう北朝鮮の公式報道をまって論じたい。