rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月18日 「戦術誘導弾検収射撃試験」の実施を報道(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、昨17日のミサイル発射につき「戦術誘導弾検収射撃試験」とする朝鮮中央通信の記事を掲載した。同記事の骨子は次のとおり。

  • 主体:「国防科学院と第2経済委員会をはじめとする該当機関の計画により、1月17日、戦術誘導弾検収射撃試験が実施された」
  • 目的:「生産装備されている戦術誘導弾を選択的に検閲し、武器体系の正確性を検証」
  • 飛翔状況:「西部地区から発射された2発の戦術誘導弾は朝鮮東海(日本海上の島目標を精密打撃した」
  • 試射結果:「生産されるこの武器体系の正確性と安全性、運用効果性を確認」

 同記事は簡略なもので、添付の写真も飛翔中のミサイルを写したもの1枚だけであった。14日の鉄道機動ミサイル連隊の訓練射撃に関する記事(15日掲載)も前回の同じ訓練に関する記事に比べ簡略であったが、本日の記事は、それよりも更に簡略であり、非常に抑制した報道ぶりといえる。

 また、発射の目的も、生産されているミサイルの性能確認という実務的・技術的な色彩の濃いものであった。

 1月14日以来の一連のミサイル発射を総じて考えると、新兵器の開発、実戦部隊の錬成、量産体制の検証といった多方面の活動が着々と進行していることを印象付けるものであったといえよう。

 そして、そこに対外的狙いが込められていたとするなら、それは、国連決議違反とされている弾道ミサイル発射を特に目くじらを立てる必要のない日常茶飯事として既成事実化することであったようにも思われる。それは、外交的圧迫の道具としてのミサイル発射の効用を低下させる副作用も伴うものであるが、今の北朝鮮は、そうした形での外交交渉再開をそれほど期待していないのであろう。それよりは、むしろ、自立自存による国防力、経済力の強化に邁進するというのが基本的立場であるように思われる。

以下の部分加筆

 なお、同ミサイル発射に関する韓国軍発表の骨子は次のとおり。

 午前8時50分及び同54分、平壌順安飛行場付近から東北方面日本海上に短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体2発発射、飛行距離約380㎞、高度約42㎞。

 また、韓国報道によると、同ミサイルの機種は、KN24であり、同型ミサイルの発射は、2019年8月に2回、2020年3月に1回行われており、今回で4回目とのことである。