rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月31日 「中長距離ミサイル火星12型の検収射撃」を報道

 

 本日の「労働新聞」は、昨日のミサイル発射に関し、「地対地中長距離弾道ミサイル「火星12」型検収射撃試験実施」と題する朝鮮中央通信の記事を掲載した。同記事の骨子は、次のとおり。

実施主体:「国防科学院と第2経済委員会をはじめとする該当機関の計画により」実施(立ち合い者等の言及はなし)

実施目的:「生産装備されている地対地中長距離弾道ミサイル「火星12」型を選択検閲(抜きとり検査の意であろう)し、全般的なこの武器体系の正確性を検証する」

飛行状態等:「周辺国家の安全を考慮して・・最大高角発射体系で射撃」

実施結果:「生産される「火星12」武器体系の正確性と安定性、運用効果性を確認した」

 なお、同記事に添付された写真には、「ミサイル戦闘部(弾頭)に設置された撮影機で宇宙から撮影した地球画像」とされる写真2葉が含まれている。

 ちなみに、韓国軍は、今次発射に関し、30日午前7時52分ころ慈江道舞坪里付近から東側東海(日本海海上に1発を発射、飛行距離は約800㎞、頂点高度は約2,000㎞、推定最大射程距離は4,500~5,000㎞、と発表している。また、同型ミサイルの発射は、2017年9月(この際は、金正恩が立ち合い)の初発射に次ぐものとのことである。

 記事は、以上のとおり簡略なもので、実験の意義などについての言及はない。しかし、今次発射は、先般来の一連の発射とあわせて各種ミサイルの開発・生産・配備が着々と進展していることを改めて誇示するにとどまらず、発射される弾道ミサイルの射程をこれまでの短距離型から中長距離方へと一歩進めたことにより、先の政治局会議で「検討」するとした「大陸間弾道ミサイル発射等の猶予中断」まで、文字通りあと一歩のところに迫りつつあることを示唆するものといえる。その点で、今次発射の持つ意味は従来以上に重大といえよう。