2022年1月7日 社説「党中央委員会第8期第4回全員会議の綱領的文献を深く学習しよう」
標記社説の言う「党中央委員会第8期第4回全員会議の綱領的文献」とは、いうまでもなく本ブログでも紹介した同会議での金正恩の本年度課題に関する「結論」及び農村問題に関する「報告」のことである。
社説の基本的な主張は、「(これら)文献に提示された思想を深く体得することは、意義深い今年に我々式社会主義建設の全面的発展を成し遂げるための先決条件である」ので、党を先頭に国を挙げて、それらをしっかり学習しましょうというものである。
本日の「労働新聞」は、それに符合する形で、「党中央委員会第8期第4回全員会議の思想と精神でしっかりと武装することは今年の戦闘勝利の先決条件」との共通題目の下、「各級党組織において文献学習を集中的に実施」などの記事が掲載されている。
それは理解できるのだが、不可解なのは、それに先立つ部分で、金正恩が同会議において「社会主義建設の新たな発展のための原則的問題と闘争方針を闡明された」とし、また、同会議の持つ「実践的意義」として、「昨年の事業を矜持高く総括しつつ、我々が得ることになる教訓が革命的な政策をより補完し、我々のより大きな発展潜在力を呼び起こす推動力となるようにした」ことを挙げていることである。
1月4日の本ブログでも取り上げた問題であるが、会議に関する報道を読む限りでは、それら「文献」の中で、「原則的問題」を正面から論じた跡や「教訓」的な表現は、特段認められない。4日に取り上げた評論も、同会議の「実践的意義」として、それらの点を挙げていた。したがって、この点は、いわば定式化した表現となっているようで、会議の実際と報道内容との乖離という推測を改めてうかがわせるものである。
実際は、会議で金正恩がかなり辛辣な批判を行うとともに、それを総合する形で何らかの「教訓」といったものを提示したのではないだろうか。ちなみに、同会議における人事異動では、中央委員、同候補委員ともに20人以上の補選が公表されている。そのことは、それに匹敵する規模の中央委員、候補委員が解任されたことを示唆するものとも言え、そうした批判の対象が広範囲に及んだ結果と考えることもできよう。
前掲記事で紹介された党組織などにおける「学習」の場では、そうした批判等が盛り込まれた「文献」が教材として利用されているのかもしれない。