rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月8日 論説「成果からも不足点を求めるのが革命家の姿勢である」

 

 標記論説は、昨日の本ブログで提起した疑問に対する答えとも考えられるものである。

 まず、冒頭で、金正恩が先の中央委全員会議で「一年の事業を誇りを持って総括するこの時点においても、我々は必ず冷静性を持って教訓的なことをまず分析しなければならないとおっしゃった」として(注)、「すべての部門、すべての単位において、昨年の事業を教訓的で発展的な見地から振り返り、不足点を正確に探し求め対策していく」ことの必要性を強調している。

 その上で、「より(多く)収めることができる成果を収められなかった不足点が何かをよく知ることが重要である」と主張し、一定の成果で満足してしまう妥協的姿勢を批判している。

 また、「主観に欠点を探し求め、大衆の中に方途を探し求める」ことも訴えている。ここで「主観に求める」というのは、「客観的条件と環境を口実にすれば、いかなる正しく行えず、主体の作用と役割もまともに発揮できず、このような人から出てくるのは無責任性と無能力、責任回避のほかない」ということで、要するに、「まず自分の責任を考えよ」ということであろう。「大衆」については、「現実をよく知っているのも大衆であり、事業における不足点と欠陥を正しく見ることができるのも大衆である」として、大衆の中に深く入り込み、彼らの声に耳を傾け、群衆の意思と要求を慎重に受け入れる」ことを訴えている。

 論説が最後に求めるのは、「すべての幹部は自分の事業に対する高い責任感と意欲、進取的な事業態度を持って最大の馬力を出して奮闘する」ことである。

このような論説の主張からは、「会議文献」の「学習」が、こうした姿勢の確立を求める場となっていることがうかがわれる。

 注:ここで引用されている金正恩の発言は、全員会議冒頭のいわば「開会辞」的な部分でなされたものであり、それに続けて、「我々が(会議で)求めることになる一連の教訓が革命的な政策を一層補完し、我々のより大きな発展潜在力を呼び起こす推動力となるようにしようというところにこのたびの全員会議を招集した重要な目的があり、ここに革命発展の実践的意義がある」と述べたと報じられている。一連の論評で見られた「実践的意義」との表現は、これに基づくものであったと考えられる。

 ただし、本ブログでこれまで繰り返し指摘してきたように「結論」を報じた記事の中には、そうした「教訓」に関する具体的な表現はほとんど認められない。