rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月5日 論説「人民の要求を絶対的な基準として」(12月6日記)

 

 標記論説は、「親人民的、親現実的な党事業で大衆の革命的熱意を高潮させよう」との共通題目の下、具体的活動事例を紹介する記事などと共に掲載されたものである。

 まず、「親人民的、親現実的な党事業」について、「今日、我が党は、党事業を親人民的、親現実的に更に深化させていくことを要求している。これは、人民大衆第一主義を政治理念とする我が党の革命的本態を確固として固守し、党の領導力と戦闘力をくまなく強化するための根本担保となる。・・・過去の固定格式化した方法では、発展する現実に追いつくことができず、人民の要求を充足させることができない」として、その必要性・重要性を強調している。

 これは、端的に言えば、党が「親現実的、親人民的」でなければ、人々を効率的に指導・動員することができなくなっているとの主張と解することができよう。

 そして、論説は、「親現実的、親人民的」な活動実現のための課題として、党幹部に対し、「人民を限りなく尊重し愛する母のような品性を帯びること」、「現実の中に深く入っていって大衆の声から仕事の題材を探し出し、苦楽を共にすること」「現実の中で、大衆の中で虚心坦懐に学び、高い実力を所有すること」を要求している。

 このような要求からうかがえるのは、幹部然として大衆と距離を置き、現実から遊離した指導を行う幹部の旧態依然とした活動姿勢である。

 結局のところ、同論説は、既存幹部のそういった旧弊を払しょくできないために、変化する社会に対する党の指導力が低下しており、それに党(=金正恩)が危機感を募らせているということを物語っているのではないだろうか。このところの頻繁な各種党会議の開催なども、そういった危機感・焦燥感を背景にしたものと解することができよう。