6月5日 論説「党の理想は幹部の闘争目標」
標記論説は、「我が党の理想を実現すること、これが幹部が打ち立てるべき闘争目標である」とし、また、「我が党の理想は、社会主義建設のすべての部門、すべての分野において世界に先駆けようということである」とした上で、そのような「闘争目標」実現に向けて幹部がとるべき姿勢を二つの側面から論じたものである。
その最初は、「高い資質と実力を帯びること」である。そのため、幹部には、「時代が要求する高みに自らを高めるため不断に努力する」ことが求められる。成果を上げた単位の実例をみても、そこには、必ずそのような幹部が存在すると主張する。
次は、「人民大衆に徹底して依拠すること」である。北朝鮮の人民がこれまでも苦境を克服して偉大な成果をあげてきたとしつつ、「幹部がこのような人民を信じ、彼らの精神力を総爆発させるなら、我々に解決できない問題などありえず、いかなる高い目標もいくらでも占領していくことができる」と主張している。
同論説でいう「党」は、金正恩を指すと考えられる。彼のすべてにおいて世界水準を目指すという「理想」をすべての幹部が共有し、その実現のため奮闘しなければならない、というのが論説の趣旨であろう。そのような要求の根拠となるのが、「我が党の理想には、人民の夢と志向が具現されており、時代と革命の要求が反映されている」との主張であろう。
そのための方法論を言えば、まず、世界水準がいかなるものであり、それを実現するためには何をすべきかについての知識が必要であり、それが最初の「資質、実力」の要求に反映されているのであろう。ただし、その具体化においては、理想論だけでは実効性がなく、北朝鮮の現実に根差さなくてはならない。それが後段の「人民への依拠」ということであろう。
しかし、北朝鮮の現状を見れば、全般的な物不足などの厳しい現実があることはいうまでもない。高い理想を目指す以前に、当面充足すべき課題はないのかとの疑問も感じるが、北朝鮮においては、それは、志の低い人間の近視眼的発想と批判されてしまうのかもしれない。