rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月6日 論説「人民のため滅私服務するのは我が党の存在方式」

 

 標記論説は、党を樹木、人民大衆を大地にたとえて、「滅私服務」の重要性を訴えるもの。すなわち、「強い根、強固な大衆的地盤を持った党だけが無限の活力と旺盛な熱情にあふれて領導的政治組織を限りなく強化発展させていくことができる」とした上で、「滅私服務」実践の意義を次のように主張する。

 まず、「人民に対する滅私服務は、党に対する人民大衆の支持と信頼を高めてくれる滋養分である」という。とりわけ、そのための幹部の果たすべき役割について、「党においてどれだけ人民のための路線と政策を提示しても、その貫徹の第一旗手である幹部が人民の服務者としての使命と本分を尽くすことができなければ、党の人民的施策が人民にその都度、正確に가닿을수 없고(施されず、の意?)、ひいてはか革命陣地、階級陣地が動揺することになる」と強調する。

 次に、「人民に対する滅私服務は、広範な群衆を革命偉業遂行に奮い立たつよう積極的に推動する活力素である」という。なぜなら、「群衆動員、群衆発動は、アピールでもして指示する方法では成果を得ることができない。・・・幹部が人民の要求を最優先、絶対視し、人民のために만짐을 지고 내달릴(奮闘努力する、の意?)ときに大衆の熱意と創造的積極性はより高く発揚されることとなる」からである。

 同論説の主張からは、北朝鮮指導部すなわち金正恩が、幹部による「滅私服務」の励行を体制の安定及び経済の発展の重要不可欠な前提と位置づけていることが改めてうかがわれる。また、その背景には、「人民のため」という奉仕的発想よりも、「体制保全」のためという危機感がより強く存在するとの印象を受ける。

 いずれにせよ、「党がどれだけ人民のための路線と政策を提示しても・・・」とか「アピールでもして指示する方法」などの表現からは、現在の幹部の仕事ぶりに対し相当な不満を抱いていることがうかがえる。