rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月7日 権正根外務省米国担当局長談話発表

 

 朝鮮中央通信が7日、同日付の標記談話を報じた(「労働新聞」には掲載なく、おそらく明日以降も掲載されないであろう)。

 同談話は、米国向けというよりも、米朝首脳会談を「仲介」することに固執している韓国の態度を批判するためのものであろう。「自分の鼻も拭けないのに他人の鼻を拭こうとする」、いくら言っても分からないのなら勝手にしろ、などと揶揄・論難を重ねている。談話の最後を「我々は、米国人と対座する考えがない」と締めくくったのも、それを強調するためと考える。

 ちなみに、同談話は、先の崔善姫第一次官の談話に関し、「『米国が行動せよとのメッセージ』であり『少し譲歩せよとの一種の要求』であるとの我田引水的な解釈」があることにも言及している。4日の本ブログも同様の「解釈」を示したので、「我田引水的」との批判は真摯に受け止めつつ、談話がそのような「解釈」を全面否定していないことも指摘しておきたい。

 ただ、少なくとも韓国の仲介の下での米朝交渉に応じる気持ちがないというのは本音であろう。更に言えば、韓国がそういうことを言えば言うほど対米交渉再開がやりにくくなるというのが実情ではないだろうか。

 そのような意味で、ビーガン副長官が今回、何故韓国を訪問したのかよく分からないが、北朝鮮との交渉再開を呼びかける場として考えているとすれば、それは最悪の選択であろう。本当に交渉再開を望んでいるのであれば、今次訪問では韓国・日本の立場を直接聴取するにとどめ、帰国後にそれらも踏まえつつ新たな交渉方針を整理・策定した上で、それを北朝鮮に直接伝えるべきであろう。「ボルトン」暴露本の内容をある程度信じるなら、新方針がビーガン副長官の本来の発想を反映した(そして、ボルトンの「呪縛」を脱した)ものであれば、北朝鮮が交渉に応じる可能性はなきにしもあらずと考える。