2022年1月6日 極超音速ミサイル試射を報道
本日の「労働新聞」は、国防科学院が5日、極超音速ミサイル試験発射を実施したことを伝える朝鮮中央通信の記事(装輪式発射車両から発射直後のミサイルの写真1葉付き)を掲載した。
韓国軍は、昨日、北朝鮮が同日午前8時10分ころ慈江道から東海(日本海)に向け弾道ミサイル推定発射体1発を発射したことを明らかにしており、それがこの試射であったと考えられる。
同記事は、「党中央委員会軍需工業部と国防科学部門の指導幹部が試験発射を参観した」とし、また、「党中央」が「結果に大きな満足を表示」し、「熱烈な祝賀を送った」と報じている。
ミサイルの飛翔状況については、「発射後、分離された極超音速滑空飛行戦闘部の飛行区間において、初期発射方位角度から目標方位角へと120㎞を側面起動し、700㎞に設定した目標に誤差なく命中した」としている。
また、その成果として、「能動区間飛行操縦性と安定性を再確証し、分離された極超音速滑空飛行戦闘部に新たに導入された側面起動技術の遂行能力を評価」し、「冬季気候条件での燃料アンプル化系統に対する信頼性も検証」したことなどを通じて、「多段階滑空跳躍飛行と強い側面機動を結合した極超音速滑空飛行戦闘部の操縦性と安定性がはっきりと誇示された」と主張している。
なお、極超音速ミサイルの開発に関しては、「党第8回大会が提示した・・5か年計画の戦略武器最優先5大課題中、最も重要な核心課題」と位置付けている。
北朝鮮が極超音速ミサイルの試射を報じたのは、昨年9月28日に実施した「火星―8」型の試射以来のことである。今次試射は、前回試射結果を踏まえた更なる性能向上の検証を図ったものと考えられる。
なお、韓国報道では、添付された発射時の写真に写っているミサイル弾頭部の形状が前回のものと異なるとして、2種類の極超音速ミサイルを開発しているのではないかとの推測も報じられているが、むしろ、当該部分をそのように改良したと考えるのが妥当ではないだろうか。
今次発射の意味については、金正恩はもとより前回9月の試射を「指導」した朴正天党秘書の立ち合いもないとみられることに加え、記事に添付の写真も1葉しかないなど比較的抑制的な報道ぶりであることなどを勘案すると、今後の動向に引き続き注視が必要ではあるが、とりあえず現時点では、対外的なメッセージ効果を狙ったというよりも、実際の開発上の技術的必要性ないしは新年に際しての国内向け激励メッセージ的狙いが強いと考えられる。