rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年10月21日 外務省スポークスマンがSLBM発射に関する米国の対応を非難・牽制

 

 10月21日の朝鮮中央通信は、「米国が我々の新型潜水艦発射弾道弾の試射に不当にも言い掛かりをつけていること」に関する朝鮮中央通信社記者の質問に対する北朝鮮外務省スポークスマンの回答(20日)を報じた。その骨子は、次のとおりである。

①「(19日の)新型潜水艦発射弾道弾の試射は、中長期的な国防科学発展計画を遂行するための正常な活動の一環であり、周辺諸国と地域の安全にいかなる脅威や被害も与えていない」「我々の今回の試射が米国を意識したり、狙ったものではなく、・・米国はこれについて憂慮したり、悩む必要がない」「米国と南朝鮮はわれわれの主敵の対象から排除された」

②「我々は、米国が主権国家固有の正当な自衛権行使に不正常に反応していることに対して憂慮に堪えない」「我々の正常で合法的な主権行使に言い掛かりをつけないなら朝鮮半島で緊張が誘発されることは決して起きないが、米国と追随勢力があくまでも間違った行動を選択するならより重大で深刻な結果を招く触媒剤に作用しかねない」

 要するに、①は、今次発射は、正当なものであり、米国や韓国を狙ったものではない、という陳弁であり、②は、したがって、それに文句をつけず大人しくしていれば何も問題は起きないが、言いがかりをつければ更なる反発を招くことになるぞ、という牽制であろう。

 ただ、だからと言って米国当局者等の批判的発言にどこまで具体的に反応するかといえば、軍事力開発をさらに継続・加速するという以上の行動は当面、予測しがたいのではないだろうか。この談話が記者の質問に対するスポークスマンの回答といういわば軽い形で出されたことも、言われたから黙っているわけにはいかないので言い返すという程度のものであることを示しているように思われる。

 ちなみに①の下線部の主張は、韓国の国防長官が国家で今次発射に関し「挑発」と表現しない理由を問われて、「挑発とは、領空、領土、領海に被害を及ぼすこと」と答えたことと符合する。どちらが先か確認していないが、興味深い一致である。