rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年10月20日 論説「強国の人民らしい気風と人格を持とう」

 

 標記論説は、冒頭で「我が祖国は強大で尊厳高い不敗の社会主義強国である」と主張した上で、最近の「国防発展展覧会」の開催などにも言及しつつ、人々に対して、そうした「強国」にふさわしい人格の陶冶を訴えるものである。

 まず、そうした「強国」を建設ないし維持するための必須要件として、「我々の不敗の力は一心団結であり、その強固性の根本源泉は敬愛する総秘書同志の偉大な革命思想と老熟し洗練された領導である」こと、そして、「首領に対する絶対的な忠誠心は強国において生きる我が人民の気風と人格の根本核である」ことを主張し、「党中央と思想も息遣いも歩みも共にし、党の構想と決心を決死の行動実践によって奉じていく」ことを求める。ここで「首領」あるいは「党中央」、「党」が金正恩を指すことはいうまでもない。

 次に、「強国に生きる我が人民が帯びるべき気風と人格」として求められるのが、「愛国心に基礎を置いた巨人的(巨視的の意か?)眼目と民族的自尊心、進取的な働きぶり」である。これについては、「世界をにらんだ巨人的眼目と大国的自尊心、自力で世界の先頭に立たんとする満々たる野心、新たな革新、大胆な創造、不断の前進を絶え間なく志向する進取的な働きぶり、いったん決心したら一気にやり遂げる英雄的闘争気風」と敷衍されている。

 あわせて、「高尚な文化道徳的品性」も同様に必要とされる。これは、具体的には、「困難で大変なときであるほど人々の間に、同志の間に喜びと悲しみを共に分かち合い、徳と情により和やかな大家庭をなして生きることがわが社会の気風として、国風として徹底して確立」すべきとの主張といえよう。

 同論説のこうした主張からも、北朝鮮のこのところの「国防発展展覧会」や打ち続くミサイル発射などが対外的メッセージ発出とともに(あるいはそれ以上に)国内的意味合いを色濃く帯びていることを改めてうかがうことができよう。