rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月2日 社説「幹部達は党中央委員会第8期第2回政治局拡大会議思想を高く奉じ、革命的修養と鍛錬をより強化しよう」

 

 標記社説は、先の政治局拡大会議について、「幹部達をして党の幹部革命方針の重要性をもう一度再認識、再確認し、より覚醒奮発するようにした重要な契機」であったとした上で、一層の「革命的修養と鍛錬」を訴えるもの。

 社説は、まず、「一部の幹部達は党と国家の苦衷を一身を捧げて受け持ち解決しようとの自覚もなく、敗北主義と安逸弛緩に陥り、無責任に仕事をしている」との現状を指摘し、「このたびの政治局拡大会議を通じて、すべての幹部は、保身と消極性、主観と独断、無能と無責任性が我が革命にいかに厳重な後禍をもたらすかという深刻な教訓を得て、地位を問わず党的修養と鍛錬をより強化すべき必要性をもう一度痛感するに至った」と主張する。

 そして、具体的な目標については、「革命的修養と鍛錬の根本目的は、首領の思想と領導を忠誠で奉じていくことにある」、「現時期幹部革命において重要なことは、幹部が党政策決定を骨が砕けても無条件に徹底して貫徹する革命的気風を体質化することである」と述べている。

 あわせて、「幹部革命において我が党が特別に注目していることは、事業作風、道徳作風である」として、「常に群衆の中に深く入り、彼らの声に耳を傾ける」ことや「権力乱用と官僚主義を排撃し、清廉潔癖であり、勤労者と苦楽を共にする」ことなどをあげている。

 最後に各級党組織に対し、幹部の修養、鍛錬に力を注ぐことを訴え、「党性、人民性が低く、党政策を決死貫徹する革命的気風が立っていない対象は、適時に対策を立てなければならない」として、幹部の選別を進めることを求めている。

 同社説の以上のような主張は、先の政治局拡大会議の狙いが、高位幹部に対する公開的・集中的な批判を通じて、「一罰百戒」的に幹部全般に意識改革を迫り、金正恩に対する絶対的忠誠と党政策の無条件実践に向けた献身を引き出すことにあったこと、そして、同会議を契機として、以上の点を基準に全党的に各レベルでの幹部の選別・リストラ(「精幹化、精鋭化」と表現)を進めることを端的に示しているといえよう。

 金正恩への絶対的忠誠と党決定の無条件実践というのは、これまでに繰り返し強調されてきた点であり、同会議も、そのような意味では、何か新しい方針を示したとかいうことではなく、従前の流れの延長線上での出来事であったといえよう。

 なお、「精幹化」については、昨日の本ブログでは「整簡化」と訳したが、ネットの「朝鮮語大辞典」で確認したところ、同じ発音で、それとは別に、「首領と党を決死擁衛する精鋭らしい幹部隊列になるようにすること」との意味で「精幹化」という言葉があることが分かったので、こちらに訂正させていただきます。