rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月26日 社説「党決定執行において無条件性、徹底性、正確性の気風が確固とした党風になるようにしよう」(1月27日記)

 

 標記社説は、24日の「政論」でもキータームになっていた「党決定」の徹底執行を正面から訴えるものである。

 まず、その執行における「無条件性、徹底性、正確性の気風を確立」することの意義として、「党中央の権威をくまなく擁護保衛するための必須的要求」であり、「人民のための滅私服務を唯一の存在方式とする我が党の革命的本態をより鮮明にしていくための根本要求」であると主張する。後者は、回りくどい表現だが、要するに人民大衆のための施策を実現するために必要、ということであろう。

 次にそうした気風確立のための課題として、①「敬愛する金正恩同志の革命思想によって、より徹底して武装」すること、②「党中央の唯一的領導体系を確立するための事業を引き続き深化させていく」こと、③「自力更生、刻苦奮闘の革命精神、闘争気風を高く発揮」すること、④「幹部が旗手になる」こと、⑤「党組織の戦闘的機能と役割を決定的に高めること」などをあげている。

 このうち、③は、端的に言えば「他人を頼まず自分が頑張れ」という精神主義の強調であり、④、⑤はこうした論調に必須の「定食メニュー」のようなものである。そうすると、結局、残るのは①と②ということになり、前段部分の「党中央の権威」擁護とあわせると、金正恩指導力、求心力を維持するためには、それを強化しなければならないというなんとも中身のない主張を展開しているということになる。

 そうした本社説の意義を強いて言えば、そうした論理を「党決定」という表現を用いて修飾していることであろう。金正恩の構想と「党決定」の関係については、24日付けの本ブログでも少し論じたが、本社説も踏まえて改めて整理してみると、前者を個別具体的な時期・対象に反映させ、かつ党員の参画を経て具体化したものが後者といえるのではないだろうか。

 更に言えば、中央の「党決定」は、各級の単位・機関等において更にブレイクダウンされ、当該単位・機関等の党組織としての「党決定」がなされ、最終的には、そこに所属する各党員にそれに基づく任務分担が与えられることになる。そうした課題を定められた期間内に、環境変化などを口実にせず(無条件性)、細大漏らさず(徹底性)、手抜きをせず確実に(正確性)達成することが本社説の求めることなのであろう。

 換言すると、各党員(さらには人民すべて)は、金正恩の唱える抽象的な構想や大方針に対して賛同・支持を唱え拍手・万歳をするだけでは足りず、それに基づく「党決定」としての各自の任務分担を達成することによって、はじめて忠誠が認められるということになるのであろう。これがまさに北朝鮮における人民統治すなわち「動員」の基本方式といえよう。