rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月8日 社説「英雄的朝鮮人民軍は我が党の領導に絶対忠実な革命的党軍である」(2月9日記)

 

 標記社説は、朝鮮人民軍の創建(1948年2月8日)74周年に際してのもの。

 社説は、冒頭「今日、朝鮮人民軍は敬愛する金正恩同志を高く奉じて自らの発展の最全盛期を繰り広げている」としつつ、「今日、朝鮮人民軍の無尽強大な威力は敵対勢力を戦慄させる先端武器装備よりも、全軍が党中央の革命思想でフル装填され党中央の周囲に鉄桶のように結集していることにある」「党中央の領導に絶対忠誠、絶対服従するここに人民軍隊の存在と必勝不敗の力の源泉があるということ、これが我が革命武力の70余星霜の高貴な総括である」などとして、政治思想的側面を強く強調する内容となっている。

 したがって、今後の軍の課題についても、まず「全軍に党の唯一的領軍体系をより徹底して確立」することを掲げている。一方、軍事的機能に関しては、これに続く「党の武装力、国家防衛力の主体、革命の主力軍としての使命と任務を引き続き立派に遂行」することの一つとの柱として、「いかなる不意の軍事的挑発にも能動的に、攻勢的に対処することができるよう徹底して準備」することを、「社会主義建設の難しく大変な戦区ごとで常に人民軍隊を絶たせてくれる党の信頼を大切に受け止め、今年も祖国の富強繁栄と人民の幸福のための創造大戦を力強く展開」することと並列して掲げられている。

 社説は、また、「すべての党員と勤労者」に対して、「党の命令指示であれば一撃に山もうつし海も埋める人民軍隊の闘争精神に学び、党決定を無条件に徹底して貫徹」することを訴えている。

 以上の主張の中に今日、軍が置かれた位置、あるいは、それが占める意味が如実に表れているといえよう。

 ちなみに、韓国報道によると、6,7日開催された最高人民会議の映像において、ひな壇に着席した軍総政治局長(権英振)の階級章が昨年末の中央委全員会議の時の「次帥」のものから「大将」(星4つ)に変わっていたということである。この時の全員会議で相当数の軍高官が中央委員から候補委員に降格されたことは本ブログで指摘したとおりである。その後に行われたとみられる同人の階級引き下げがそれと関連するのか定かでないが、いずれにせよ、最近の国防建設重視の方向性とは裏腹に、軍高官にとっては、厳しい風が吹いているようである。