rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年2月9日 金正恩国防省訪問を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩朝鮮人民軍創建76周年に当たる2月8日、国防省を「祝賀訪問」したこと及び同日開催された「朝鮮人民軍創建76周年慶祝宴会」に出席したことをそれぞれ報じる記事と国防省訪問時に行った演説文を掲載した。それら記事・演説の注目点は、次のとおりである。

ア 国防省祝賀訪問

  • 同行者:「尊敬するお子様が同行された」、「党中央委員会秘書たちが同行した」(氏名記載せず)
  • 迎接者:強純男(国防相)、鄭慶沢(総政治局長)、李永吉(総参謀長)をはじめとする「朝鮮人民軍の主要指揮官と大連合部隊長」
  • 主要動向:軍旗査閲、花束贈呈、儀仗隊分列行進、軍高官との記念写真撮影などの後、金正恩が演説(国防省建物内に入っての視察等は行わなかった模様)

イ 慶祝宴会

  • 出席者:「国防省指揮官と大連合部隊長をはじめとする朝鮮人民軍将領たちが招待された」、「金正恩同志が尊敬するお子様と共に宴会場にお出まし」、趙勇元、李日換、朴正天、趙春龍、全現哲、朴泰成(秘書)をはじめとする「党中央委員会幹部たちが席を共にした」
  • 「宴会に先立ち慶祝公演が実施」
  • 演説(朴正天):「党の命令と指示に絶対に服従する軍隊だけが勝利を収めることができる」

ウ 金正恩の演説

  • 最初の呼びかけで人民軍の編成を明示:「国境前線:第1,2,4,5軍団」、「平壌防御軍団」、「東西地区:諸軍団と機械化歩兵、戦車、装甲部隊」、「北部国境:12軍団と国境警備隊」「(各)軍種」
  • 対韓強硬姿勢:「先般、我が党と政府が・・韓国傀儡連中を我々の前庭(?)を最も害する第1の敵対国家、不変の主敵と規定し、有事時に彼らの領土を占領、平定することを国事と決定した」ことにより、「より強力な軍事力を育て、超強硬対応態勢を維持しつつ自主的な独立国家、社会主義国家としての尊厳を守り、周辺環境を我々の国益に即してより徹底して対処していけるようになった」
  • 「常に臨戦態勢を維持しなければなりません」

 金正恩の演説は、長文であるが、その趣旨は、軍の軍事、国内建設両面での貢献を称揚する従来の延長線上のものであり、特段の新味や驚くような点はないように思える。